商品詳細：初入荷の大珍品。1960年ロンドンのアビーロードスタジオで録音されながらなぜかALP/ASDでは発売されずにHMV Concert Classicsシリーズ:XLP/SXLP 20027で発売された録音。同じ時期に別の指揮者の「悲愴」がかぶったようだ。些細な理由で正規発売に至らず知られていない録音は意外に多い。パウル・クレツキ(1900-1973)はポーランド生まれ。ユダヤ系だったために1925年から指揮していたベルリンpo.を捨ててソ連に逃れた。しかし今度は1936年にスターリンの大粛清を逃れて、スイスへの亡命を余儀なくされた。不遇な指揮者の代表格である。アンセルメの後任としてスイス・ロマンドの首席指揮者に就任するが全く話題にもならず録音もない。どこまでも不運である。単発的にHMVやCOLUMBIAに録音はあるが一貫性がない。初めてのまとまった仕事はSUPRAPHONでのベートーヴェン交響曲全集だったがそれも評価はカヤの外に置かれたまま。せっかく録音できた「悲愴」は正規シリーズから外されプレスも僅か。しかしクレツキはめげない。どんな環境でも音楽は一貫していた。のこ「悲愴」にはそんな強固な意志が貫かれている。