商品コード:1195-055[DECCA] W.バックハウス(pf) / シューベルト:楽興の時Op.94 D.780(全6曲), シューマン:森の情景Op.82(全9曲)
商品コード: 1195-055
商品詳細:DECCA時代のバックハウスのソロ録音としては相当希少なタイトルである。当社でも初入荷となる。1955年のモノラル録音。多くの器楽奏者が1950年代後期にDECCAを去りDGGを中心に別のレーベルへ移籍したのに対し、バックハウスは亡くなる1969年までDECCAを離れることはなかった。その理由はプロデューサーであるジョン・カルショウにとりわけ大事にされたからと見て間違いないだろう。DECCAでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を2回も録音したのは勿論バックハウス以外には居ない。1回でも全集録音したのは他にアシュケナージだけである。しかも最初のモノラル全集は当社グルダに用意されたものであった。途中から割り込んだバックハウスが完成に至った経緯はジョン・カルショウの意向だろう。当然グルダは早々にDECCAを去っている。バックハウスはパワーという点では抜きん出たピアニストであった。そのため協奏曲ではその存在感を増す。そのパワーを使ってのソロ録音では方向性がスケールへと向かうことになる。バックハウスのソロ録音は男性的であり優しさは後回しにされる。そびえる山の威容を表現できる数少ないピアニストである。カルショウが最後までバックハウスを離さなかった理由はそのあたりだろう。従ってこの2曲も優しい演奏ではない。心和む演奏を求めるなら同じドイツ系のケンプだろう。ケンプもベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を2回も録音したという共通項からよく比較対象とされるが、剛のバックハウス、柔のケンプと割り切っても大きな間違いはないだろう。バックハウスの「楽興の時」は抒情巻はあるが癒しの音楽というより、淡々とした中の、枯れた味わいを楽しむ性質の演奏である。シューマンにロマン的気分は求められない。シューマンの音楽が厳しい形で構築された中から滲み出るアロマを楽しむという変わった愉しみ方になるだろう。
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