[MELODIYA] D.バシュキーロフ(pf) / モスクワ音楽院ライブ/ショパン, グルック, シューベルト, ドビュッシー, スクリャービン, プロコフィエフ
商品コード: 1203-055n
商品詳細:ピアニスト、ドミトリー・バシシュキーロフ(1931-2021)はグルジア・チフリス出身。娘のピアニストのエレーナ・バシュキロワはD.バレンボイムの後妻。モスクワ音楽院にてゴリデンヴェイゼルに師事。1955年開催のロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門にて最高位(一位なしの二位をフランスのベルナール・リンガイセンと分け合う)。以後、第一線のピアニストとして活躍し、1968年にロシア功労芸術家の称号、1990年にロシア人民芸術家の称号を得ている。I.ベズロードヌイ(vn)、M.ホミツェル(vc)とPfトリオを組み、多くの録音を残した。弟子にアレクセーエフやデミジェンコがいる。ソロ録音は意外に少ない。バシキーロフはその録音時期が早い為に、ユーディナやスフロニツキーなどのモノラル組と開祖から見て孫弟子であるステレオ世代の中間に当たり、どちらのファンからも取り残されたような立ち位置にある。その為、彼のソロ録音が注目されたためしはないが教育者としては有名な教師であり、録音はオケを伴う協奏曲が多い。1960年代に協奏曲を録音できたピアニストは一握りであり、実力抜きにあり得ない。色とりどりの小品はEMIからも出ているほどの実力派。マリーニンと似たような境遇といえる。オーソドックスで強靭な基本的打鍵を持つ。奇をてらわない表現は地味ではあるが強固な構築力を持ったピアノ。これは正確な年代が不明だが、1972年頃モスクワ院学院大ホールで行われたリサイタルのライブ録音である。東西様々な曲を散りばめた演奏会だが特筆すべきはライブで見せた非常に鋭くクリアーなタッチである。バシシュキーロフはかなりの大物だが、まるでロシアンスクールの秀英の如くよく回る指で超絶的な技巧でまずショパンを弾いて見せた。意図的に硬い音色を用いて剛腕ぶりを見せつけるかのようなショパンには驚かされる。マズルカでは一点軽やかなタッチで弾むような演奏。グルックの「精霊の踊り」では透明感の高い音で幻想的に仕上げる。シューベルトの歌曲の編曲では柔らかい音を使い歌を表現。ドビュッシーはかなり遅いテンポと抑えた音で禁欲的に、ロシア作品は楽しんでおどけるようなタッチで諧謔的にそれぞれの曲に合わせ、やりすぎない程度に印象を変化させる演奏。聴衆は最後まで集中して聴いたに違いない。日本では知名度の低いバシシュキーロフだが凄腕の大物であることはこのLPが証明している。
バシュキーロフの在庫一覧へ
関連カテゴリ