[COLUMBIA] A.チャイコフスキ(pf) / モーツァルト:Pfソナタ1+ロンド5番K.533+K.494, PfソナタのためのアレグロK.312(断章) 他
商品コード: 1228-011
商品詳細:本名はロベルト・アンジェイ・クラウトハメル。1935年ポーランド生まれのユダヤ系。1948年にはパリに留学し、ラザール・レヴィに師事。1955年ショパンコンクールで入賞、1956年にはベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクールで3位に入賞などの実績を残し、米国RCAと契約。芸名アンドレ(アンジェイ)・チャイコフスキとして活動を開始。チャイコフスキという苗字は、ユダヤ人であることを隠して潜伏していた時に偽造した身分証明書の苗字であるらしい。1957年にラヴェル/プロコフィエフのモノラル録音でLPデビューした。1960年以降は仏COLUMBIAに移籍し録音を残す。1982年46歳の若さで夭折した。死因は癌であったらしい。早く亡くなった音楽家の録音はどうも贔屓目に見てしまいがちだが、チャイコフスキの音楽は当初RCAに入れた4枚のLPには恐れを知らない才能が溢れていた。仏COLUMBIAの録音ではピアニストとしての進化が感じられる。良い意味で洗練された。角が取れてバランス感覚が発揮されている。しかし当初彼が持っていた煌めきのような不思議なセンスはそのまましっかりと残っているのが嬉しい。大物ピアニストの中には名声を得ると別人のように音楽が変わってしまうことがある事実はよく知られている。チャイコフスキの場合、中くらいの名声は彼に良い結果を残したといえるだろう。よく聴いていると研鑽を積んだパリで仕事ができる嬉しさがそこはかとなく漂う。彼のフランス録音の中でも最も珍しい録音がこのモーツァルトではないだろうか?モーツァルトのソナタ集は1959年RCAに1枚録音していたがこれは全く別の録音で内容はダブらない。特にメジャーなソナタではなく、敢えて小品を選んで録音している。タイトルもモーツァルト・ソナタ集ではなく「19世紀の前奏曲」としている。ある意図を持って制作されたモーツァルト・ピアノ曲集である。1966~67年の録音で、或いはこれが最後の録音になった可能性は高い。音楽性は純度を増して悲しいほどに澄み渡り、達した境地が見えるようだ。裏腹にこれ以降チャイコフスキの録音は殆どなくなったのではと思われる。
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