[COLUMBIA] S.フランソワ(pf) / ショパン:14のワルツ
商品コード: 1257-056
商品詳細:当盤の入荷で新事実が判明した。これは1963年パリ録音ではなく1958年旧モノラル旧録音である。14のワルツは1回のみの録音と考えていたがそうではない。しかもFCX 30205という再版のようなこの5桁番号がオリジナルらしい。フランソワは、一見華やかに弾いているが根底には自虐的なものを感じてしまう。彼は根っからのエンターテイナーだったようで、サービス精神の豊かさか、聴衆を素直に喜ばせるスタイルを作ったとも思える。テンポは勝手気ままに、瞬時に変化する。通常の人と逆のアーティキュレーションをとったりと、自己をこれでもかと表現した彼だが、レコーディングは大変で、1枚作るのに何日もかかったようだ。モノラルだが音は良過ぎるくらい良い。このフラット重量盤が最初で音質は充分すぎるほど良い。フランソワの持ち味はなんといっても絶妙なテンポの揺れと独特の間にある。多くの名ピアニストが録音する曲である。フランソワを聴くと、これまで当たり前と思われた間のとり方が、当たり前ではないと気付かされる。この予想外の節回しにやられてしまう。これがフランソワの魅力であり、フランソワ節と言われる部分である。良い意味で期待を裏切ってくれるピアニストなのである。若いピアニストにも似たような演出をするタイプが居るが、決定的に異なる点は、それが見事に決まってくる点である。単に拍子を外すだけなら誰でも可能である。その後で感じるクールさが無ければやったところで一度で飽きられてしまう。フラソワが長年にわたって愛され続けられるのは彼のムラ気でもなければ逸話でもない、洒落っ気であり格好の良さである。その格好の良さは彼の常軌を逸した芸人特有の常人が真似のできない生活態度から来ていることは明らかだろう。お蔭で若くして亡くなったが本人は本望だったに違いない。リスナーは自分にはできない芸術に憧れる、それが常軌を外れた私生活と重なればなおのこと神格化されてゆくことになる。演奏から感じるものが聖人のような人間の正しい姿勢である必要はない。退廃でも、堕落でもかまわない。音楽にそれら何かを封じ込めることができるのは一握りの芸術家しかいないのだから尊いのである。旧モノラル録音の存在は衝撃の新事実!旧モノラル録音にはFCX 3桁番号は存在しない!
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