[PHILIPS] B.ハイティンク/H.ロスバウト指揮コンセルトヘボウo. / ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版), バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
商品コード: 1265-038p
商品詳細:ストラヴィンスキーの名曲2曲を、ハインティンクとロスバウトで1曲ずつ担当、オケはいずれもコンセルトヘボウ。曲の始まりは非常に静か。そして、盛り上がりまでのダイナミックレンジの大きさが凄い。特にこの曲は、弦楽の速いパッセージが大切だが、そのあたりの仕上げがまったく鮮やかである。コンセルトヘボウの渋さを残しつつも明るめの音が、仏プレスとよく合う。仏ではHIFIステレオレーベルが初出だが入荷が少ない。オケの滑らかさは文句なし。珍しい1枚。ハインティンク(火の鳥)には初期録音でロスバウト(ペトルーシュカ)には非常に希少なPHILIPS録音。ベルナルト・ハインティンク(1929 - 2021)はアムステルダム・コンセルトヘボウに着任したばかりの年の録音でヨッフムがまだ補佐で付いていた時期である。聴いてみるとしっかりオケはなっていていい音が出ている。想像より大胆な演奏になっている。大物指揮者ならもっと大胆な演奏になるのだろうか。バレエ組曲として聴くには十分に満足のいく演奏である。何よりバランス感覚が優れており、物語風な情景が浮かんでくる秀演といえる。音質が素晴らしいのでそれだけで大満足な印象。A面の2/3を使った短い1919年の組曲版である。A面の後半1/3とB面全てを使うロスバウト/コンセルトヘボウo.の「ペトルーシュカ」(1947年版)には興味を持って聴いた。ロスバウトのPHILIPS録音は僅かな数しかないからである。ハンス・ロスバウト(1895 - 1962)はオーストリア・グラーツ出身の指揮者。ロスバウトはフランクフルト(1929年から1937年)やバーデンバーデン(1948年から1962年)といった放送局のオーケストラの首席を務めたが録音が多いとは言い難い指揮者。どのレーベルでもメインとなるポジションではなかった。PHILIPS録音は他にカサドシュとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番がある。この録音はロスバウトが亡くなる年(5ヶ月前)の晩年録音でステレオ録音が少ないロスバウトのステレオで聴ける珍しいPHILIPS録音。VOX等の録音が中心でコンセルトヘボウo.は全録音中でも一流のオケに当たる。このオケは元々激しく燃え上がるタイプではない。そんな穏やかなスタイルで進み情感を排したスレートではあるが何所か温かい音が感じられる演奏である。シニアの方には単純な爆演より、この味わい深い演奏の方が曲への愛着も出るだろう。これまで聴いた「ペトルーシュカ」はオケの勢いにモノを言わせた激しさを売りにした演奏が多かっただけに、67歳になる老指揮者の手の込んだ深みのある演奏には流石と感じ入った。ハインティンクの若き突進した演奏も良いが、同じ曲を聴き込んだ方にはロスバウトの熟した演奏には感心するだろう。
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