商品コード:1330-013b[HMV] P.トルトゥリエ(vc) / バッハ:無伴奏Vc組曲(全6曲)
商品コード: 1330-013b
商品詳細:トルトゥリエ2度目の録音は1982年に行われたが、少々の音質の点を除けば、初回録音とはまた別の魅力を持った演奏と言える。Vcはこの録音の方が鳴り切っており、思い切りの良い大胆な演奏と言える。初回録音は非常に端正なオーソドックスなアプローチだったが、今回は独自性を一歩進めたような印象を受けた。モノラル・モードにすることで、落ち着いた音で楽しめる。初回録音は大変素晴らしいもので同じくEMI系各社から発売されたが、なかなか入手の困難な希少盤(箱)である。ポール・トルトゥリエ( 1914 - 1990)はパリ生まれ。6歳よりチェロを始め、パリ音楽院でチェロをジェラール・エッカンに師事、作曲と和声も学ぶ。インタビュー形式の自伝『ポール・トルトゥリエ チェリストの自画像』によれば、長年にわたる母親の熱心な励ましがトルトゥリエを支えたという。1930年、16歳でパリ音楽院チェロ科を1位で卒業。同年12月にはデビュー・リサイタルを開く。パブロ・カザルスに師事したとよく書物などに書かれるが、影響は多分に受けたものの直接習ったことはないとトルトゥリエ自身によって語られている。終戦後2年間はパリ音楽院管弦楽団の首席奏者として活躍、1947年からはソリストとして演奏活動を行う。1950年、カザルスを音楽監督として開催されたプラド音楽祭に参加、チェロ・パートのトップを受け持った。1969 - 1975年、ドイツ、エッセンのフォルクヴァング芸術大学教授。1978 - 1980年、ニースのコンセルヴァトワール教授。 1990年12月18日、トルトゥリエはパリ郊外の音楽学校でチェロを教えていたが、その際、自室に楽器を取りに行ったときに心臓発作に襲われ、チェロにもたれかかったまま亡くなっているのが発見された。時69才で行ったニ度目の録音は初回で感じたパワーやエネルギーは減退しているが、内面への沈潜が深い。ミルシテインの無伴奏Vnとパルティータにも似て、晩年録音は力より、丁寧さや楽譜の読みといった細かな配慮が行き届き、味わいの深い演奏となっている。初回録音に感じた彫の深さより流れに重点を置いた演奏といえる。技巧の点では初回録音が勝ることは事実。技巧を誇示することをやめたことで見えてくる新しい視点に準拠した、トルトゥリエなりの新たな発想に基づく演奏といえる。ミルシテインの2回目より更に踏み込んだ方向転換を感じる演奏。
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