[DGG] R.リッチ(vn) B.スミス(pf) / クライスラー:名曲集/愛の悲しみ, 愛の喜び, 美しきロスマリン, 中国の太鼓, コレッリ変奏曲, 他
商品コード: 1297-062
商品詳細:R.リッチの米DECCA録音。リッチは元々アメリカ生まれのヴァイオリニスト、当初モノラル期の英DECCAに録音していたが1950年代後期に米DECCAに移籍した。米DECCAに移ったことでバッハ無伴奏を始め、多くの録音を残した。全ての録音に欧州プレスが存在するわけではなく、一部の録音に欧州プレスが存在。このクライスラー作品集は英・独からも出ているが、独では2種の出口がありセゴビアのケースと同様、独DECCA(白レーベル)、SMU 1122も存在する(Telefunkenプレス)。R.リッチの特徴は何と言ってもその技巧の凄さ。その為クライスラーといっても甘口のムード曲集ではない。リッチならではの硬派らしい表現で、これら名曲を料理、辛口好みにぴったり。リッチの名盤「クレモナの栄光」はドイツでもプレスが多かったが(ステレオは希少)、クライスラー:名曲集は非常にプレスが少なかった。米DECCAに移籍してからのリッチはDECCA時代から少しスタイルが変化し、もともと情感に訴えるスタイルではなかったが移籍後には更に拍車がかかり、よりクールな表情になった。技巧には更なる磨きをかけ、ハイフェッツにも似たような変化を遂げた。リッチの父親は、息子リッチが10歳でヴァイオリニストとしてデビューする際には、「槍の名手」という語源を持つ「ルッジェーロ」というイタリア語の別名を使用し、姓もRichからRicciに変更した。「ルッジェーロ」は英語では「ロジャー」に当たるようで親しい人は息子を「ロジャー」と呼んでいた。リッチの師はルイス・パー シンガー (1887-1966)で、ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)の弟子である。フランコ・ベルギー派の流れを汲むヴァイオリニストで、少し前にはメニューイン(1916-1999)にも教えていたほか、のちにはギラ・ブスタボ(1916-2002)、カミラ・ウィックス(1928)の師でもあった。パー シンガーの教えもあってかリッチは自身の技巧をとことん磨いたようで、米DEECA録音の大半が類まれな技巧を進化させていたようである。クライスラーといえばロマンチックに弾かれるのが通例だろう。しかしリッチは敢えてストレートでクリアーに情感を全面に出さず演奏して見せた。なかなかないスタイルであり、リッチらしさが出て「クライスラー:名曲集」となっている。ステレオも出ているがドイツ盤の入荷はない。
リッチの在庫一覧へ