[PHILIPS] A.グリュミオー(vn) J.クレンツ指揮ニュー・フィルハーモニアo. / メンデルスゾーン:Vn協奏曲 ホ短調 Op.64, Vn協奏曲 ニ短調 Op.posth.
商品コード: 1301-049
商品詳細:グリュミオーのメンデルスゾーン:Vn協奏曲は1946年のEMIへのSP録音から始まり、モラルト(A00750R),ハイティンク(836 201)、当録音と4回目のメンデルスゾーン:Vn協奏曲 ホ短調 Op.64(通常のVn協奏曲 )を録音している。グリュミオーは'70年代に入ってさらに進化し、音色は冴えに冴え、枯れるということがなかった。もうこの頃には、フランコ=ベルギー楽派を背負って立つ第一人者になっていた。このとき彼は51歳、脂の乗り切った時。若い頃の溌溂としたエネルギーはやや衰えたかに感ずるが、その分、思慮という要素が加わり、なお進化を続けるエンターテイナー。グリュミオーは今回初めてVn協奏曲 ニ短調を収録。このLPで2番とする曲が通常のヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64である。通常通し番号は付けないが、今回のように2曲が収録される場合、1番をニ短調 Op.posth.、2番をホ短調 Op.64とすることがある。これはマイナー作品であるニ短調 Op.posth.が1822年作とホ短調 Op.64(1844年作)より早い作品だからである。ニ短調 Op.posthの楽譜(初稿)はメンデルスゾーンの死後、未亡人のセシル・シャルロット・ゾフィ・ジャンルノーが所有していたが、セシルが1853年にフェルディナンド・ダヴィッドに贈り、ダヴィットの没後(1873年)はイギリスへ渡った息子のペーター・ユリウス・パウルが楽譜を相続した。さらにパウルが1932年に没した後、そのまま作品の存在自体が忘れ去られていた。日の目を見たのは1951年になってからで、ヴァイオリニストのユーディ・メニューインがロンドンでメンデルスゾーンの子孫にあたる一族の邸宅を訪れていた際、本作の自筆の草稿(初稿ではない)を見せられたことで本作がようやく一般的に知れ渡り、1952年にようやく蘇演が行われた(出版も同年になされている)。ユーディ・メニューイン/ビクター弦楽オーケストラの弾き振りによって1952年2月6日RCAに録音された。その後他のヴァイオリン奏者も録音するようになっていった。1972年9月 ロンドンにて2曲入りのメンデルスゾーン:Vn協奏曲全集を録音した。グリュミオーなら何度録音してもおかしくないが2曲入りは時代の要請という事だろう。Op.64では変わらず艶やかな美音を保っており、51歳にしてこの音は驚異的とさえいえる。今回指揮はヤン・クレンツ(1926- 2020)なるポーランドの指揮者と共演。グリュミオーのソロは大胆に鳴り響き衰えなど一切感じさせない演奏である。4種どれを聴いても納得の演奏だと思われる。B面の初録音であるニ短調 Op.posthはメンデルスゾーン13歳での若書きなので期待はしなかったが流石にグリュミオーが弾くと存在感がぐっと増して、より良い曲に感じてしまうから不思議。ソリストとは非凡な演奏者という事である。
グリュミオーの在庫一覧へ