[Ducretet Thomson] H.シェルヘン指揮/ バッハ:ロ短調ミサ(全曲)
商品コード: 1310-010
商品詳細:1950年にWESTMINSTERに入れたシェルヘンの「ロ短調ミサ」の初回旧録音。米盤で聴いた印象はそこまで良くはなかった。今、こうやってデュクレテの仏プレスで聴くと、まったく印象は異なる。非常に重厚なのは変わらないが、米盤より潤いがあって、音楽性の高さを感じる。重量級のロ短調として、またメンゲルベルクのマタイのような緊張感漲るロ短調として、推薦する。横長のロングアルバム入り。重厚さと強い宗教性ではトップレベル!非常に遅いテンポである。綺麗な盤はほぼ無い!特に日本ではWESTMINSTERは室内楽レーベルとしてバリリQt.やウィーン・コンツェルトハウスQt.らの録音が中心となっていた為かヘルマン・シェルヘンのような指揮者ヘは殆ど注目が集まらかったといっても過言ではないだろう。ましてバッハの宗教大作ともなればカール・リヒター一本だった気がする。あれから40年以上の時間が経ち、フランスから様々なWESTMINSTER系音源のフランス盤が入荷してきた。改めて聴いてみれば、当時がいかに偏った見方をしていたか解かる。多くの方がキングやパイオニアの日本盤のお世話になったはずである。日本盤の出方は恣意的であり、売れそうと予測した音源しか出さず、出してもプレス数に偏りがある。レコード会社も商売だから当然だが、欧州レーベルは懐が深い。1950年の録音でも数年を置かず出してくれる。当時のフランス盤の音は米国盤の強い音だけでなく、録音時の空気まで真空パックのように入っている。これで聴かなければ本当の所は分からないのである。1950年代の米国盤の盤質もひどいものだが、欧州が特別良いわけではない、新幹線が走るようになって初めてLPレコードを聴いた民族とは歴史が異なる。1950年代前半のLPがもし日本にあっても状況は同じだろう。しかし日本のファンはその点をなかなか理解してくれない。シェルヘンのロ短調は遅く、暗調で何所かおどろおどろしい。決して楽しい演奏ではない。リヒターならもっと万人が聴きやすく綺麗に仕上げるだろう。シェルヘンには聴きやすさは興味がないのだろう。合唱もきっちり揃っておらず、難を探せば出てくる。しかしこれが1950年のウィーンで録音されたバッハだとすれば納得はいく。まだまだ第2次大戦のキズが癒えないウィーンの空気はこのLPから出て来るようなものだったに違いない。WESTMINSTERはその状況を見て、職を失った現地の音楽家を安価で雇うことで莫大な利益を得た。現地の音楽家も収入を得た。資本主義の一面が作用した、そんなイメージを浮かベながら聴くこの「ロ短調ミサ」は時代を切り取った缶詰と言えないか?ベストセラーーとなったリヒターの「ロ短調ミサ」はこの録音から11年後の1961年に録音された。一つの時代が終わった事を示している。
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