[DGG] R.ゼルキン(pf) C.アバド指揮ロンドンso. / モーツァルト:Pf協奏曲20番K.466, Pf協奏曲12番K.414
商品コード: 1193-013t
商品詳細:1903年ボヘミア生まれのユダヤ人ピアニス、トルドルフ・ゼルキン。モノラル期から度々モーツァルトのPf協奏曲を録音してはいたが、1980年代に入ってイタリア人指揮者アバド/ロンドンso.と然もDGGに中後期(14曲)録音を行うとは誰も予想さえ出来なったのではないだろうか。ゼルキンはドイツ音楽の正当な継承者と目され、特にベートーヴェン演奏の評価が高いピアニストで、主に米COLUMBIAに行ってきた。更に米COLUMBIAの要請でベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲録音のオファーを受けたにも関わらず完成させなかった。録音の始まった時点でゼルキンは80歳となっていた。アバドは50歳。既に衰えも出始めた時期での全曲録音はゼルキンにとっても初めてであり、荷が重かったのではないだろうか? 同じようなケースで老いたホロヴィッツが老いたジュリーニとやはりDGGにモーツァルトを録音していたが、ホロヴィッツだから許される事もあるだろう。この中後期(14曲録音に青年モーツァルトを求めても所詮無理である。跳ねるような演奏はここにはない。しかし50歳になったアバドは万年青年のようなパワフルなオケを展開する。その上でコロコロと軽快に指を回すソロは飛び跳ねる軽快さは失ったものの、しっかりモーツァルト的なる軽妙で意味深で心をくすぐるものがある。単なる老ピアニスとは思えない音楽家の魂を感じるのである。齢を重ね丸くなった優しさが全面に出ているが決して老いぶれたソロではない。確かに時折指が回りきっていない所があるのが愛嬌だろう。中後期(14曲)録音を決心した心意気が素晴らしい。モーツァルトにどこまで年季の入った味わいを求めるべきかは人それぞれだが、ここには若手音楽家では伝えられない何かがある。それを知りたと思われる方は是非聴いてみていただきたい。1981年11月~1986年11月までの5年間で8番以降の1台用協奏曲14曲録音の一つ。
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