[La Voix De Son Maître] E.タピィ(t) J.フランセ(pf) /Y.メニューイン(vn) C.カーゾン(pf) / ブーランジェ:歌曲「空の広がり」(全13曲), VnとPfのための3つの小品
商品コード: 1277-044
商品詳細:フランスの音楽史に必ず登場するブーランジェ姉妹。妹のリリは、フォーレを父親代わりに育ち類稀な音楽の才能を開花させた。リリは宗教作品が多いが、ここでは殆ど録音されない13の歌曲と3つのVn小品を紹介。テノールの為の歌曲だが、E.タピィの声は男が聴いても惚れ惚れする美しさを持ち、もはや楽器。ピアノは作曲家のJ.フランセ。現代曲とはいえ、ロマン派の大作を凌駕する作品。エスプリの泉。仏好き必聴!リリ・ブーランジェ( 1893 - 1918)はパリの音楽一家に生まれる。著名な音楽教師ナディア・ブーランジェはリリの姉である。リリは1913年にカンタータ『ファウストとエレーヌ』(Faust et Hélène)でローマ大賞を受賞した。21歳での受賞で女性では当時最年少であった。リリは1913年のローマ大賞受賞者としてローマに滞在しており、歌曲集「空の広がり」はイタリアの地で折々に作曲されたものと思われる。フランシス・ジャムの詩に作曲されたこの歌曲集は全13曲で構成されている。正式名称は「フランシス・ジャムの「悲しみ」による連作歌曲集『空の晴れ間』」とされ、原題 "Clairières dans le ciel" にリリ・ブーランジェが込めた意図をどう理解すべきかが難題で、訳名作りにあたっては、様々な解釈が試みられている。ここでは書籍の訳に従うが、オンライン上では「空のひらけたところ」というやや天文学めいた訳が流布するようになっているほか、「雲の切れ目」とする音楽学者もいる。ここでは一般に使われる「空の広がり」とした。21歳の女性の作品とは信じがたい、繊細な美に彩られた珠玉の作品群であり、フォーレを進化させたようなフランスのエスプリが詰まった歌曲集となっている。録音が少ない点が悔やまれる。1913年という時代を考慮しても素晴らしい作品といえる。「VnとPfのための3つの小品」もリリ・ブーランジェの才能を意識せずにはいられないレベルの曲である。DECCAからクリフォード・カーゾンがピアノで参加し、ヴァイオリンはユーディ・メニューインが務めるが、二人は余程の決意のもとに録音に参加したことが窺える美しい演奏に徹している。作品が演奏家を超越したともいえる曲である。作曲の才能はリリが姉ナディアより勝っていたと言われる。24歳で夭折した妹リリと92歳まで生きた姉ナディアの姉妹は歴史に名を残す最高水準にある作曲家、音楽教師として忘れられることはないだろう。姉ナディア・ブーランジェ( 1887 – 1979)の業績は特に米国で大きく、アーロン・コープランドやウォルター・ピストン、ロイ・ハリス、ヴァージル・トムソンらは帰国後に、ブーランジェの指導に基づいて新しい楽派(新古典主義音楽)を確立したのである。
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