[La Voix De Son Maître] H.ヴァルヒャ(cemb) / バッハ:イギリス組曲1~6番B.806~811
商品コード: 1280-010
商品詳細:今となっては歴史的な録音となってしまったヘルムート・ヴァルヒャのバッハ:イギリス組曲全曲録音。これは1959年の録音となる。時代的にモダンチェンバロを用いることが当たり前であり、ヴァルヒャもまたアンマーのモダン・チェンバロを用いて演奏。今ではすっかり希少な存在となってしまったモダン・チェンバロによる録音だが、これはこれで高い音楽性を持つといえる。ヴァルヒャはARCHIVにも録音があるがイギリス組曲はこの1回だけである。またオルガン奏者でもあるヴァルヒャはオルガン演奏をARCHIVに、チェンバロ演奏をEMI系へと分けていて、分かりやすいことはあった。もし楽器云々で物申す人がいるなら、そういう方はアナログLPなど聴かない方が良い。アナログLPはクラシック音楽の演奏史と不可分に結びついていて、例えばランドフスカがモダン・チェンバロでバッハ演奏を行わなかったなら今のピリオド・チェンバロによるバッハ演奏もまた存在しなかったからである。これらモダン・チェンバロによる演奏史の中で ヘルムート・ヴァルヒャ(1907 – 1991)は大きな存在である。2種類の「バッハ・オルガン作品全集」(1947-1952年/1956-1971年)を録音したオルガン奏者であり、1958~1962年にEMIへチェンバロによる鍵盤作品の主要曲全曲録音をなしている。これらの業績からバッハの鍵盤楽器曲演奏における20世紀最高の権威、「もっとも優れたバッハ解釈者の一人」と評される。1歳のときの予防注射の後遺症で極度に視力が弱くなり、盲目のバッハ弾きというキャッチ・フレーズで日本に紹介された。ヴァルヒャのスタイルはそれまでテンポを変え、感情を曲に似せていた演奏を排し、一定のテンポで情感を排し、正確な真面目な演奏を基本としたものである。当時としてはこのスタイルは斬新であり、ドイツ的な演奏スタイルとして高い評価を得た。オルガン、チェンバロどちらも同じスタイルで1980年代当たり前となった古楽器は当時、殆ど録音には使用されず.、楽器に対する言及より演奏に対するスタイルが話題の中心であった。今聴いてもアンマーのモダン・チェンバロは違和感のない音色であり、ヴァルヒャの構築性を支えた重要な楽器だったはず。その後レオンハルトらが現れ、トレンドは古楽器へと変化してゆくが、ヴァルヒャの演奏の輝きが失われることはないだろう。残念ながらドイツ盤のオリジナルは当時の材料に表面隆起の因子が含まれており、今発生していなくとも100%表面隆起が発生する。その点フランス盤は安心であり、パテプレスによる音質の良さで最もお勧めできるLPである。改めてヘルムート・ヴァルヒャの芸術に身を委ねるのも至福の時間だろう。
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