[MELODIYA] T.ニコラーエワ(pf) / ショパン:24の前奏曲Op.28
商品コード: 1287-042n
商品詳細:ロシア・ピアニズムのファン又はバッハファンならタチアナ・ニコラーエワ( 1924-1993)はご存じだろう。モスクワ音楽院に入学してアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルとエフゲニー・ゴルベフに師事。1950年に、バッハ没後200周年記念のライプツィヒ・ヨハン・ゼバスティアン・バッハ国際コンクールにて優勝。当地に出席していたショスタコーヴィチと、生涯にわたる親交を結んだ。ショスタコーヴィチはニコラーエワのバッハ演奏に触発されて《24の前奏曲とフーガ》を作曲し、これをニコラーエワに献呈した。1950年代前半から録音を始め、亡くなる年まで録音や演奏会を続けた息の長いピアニストである。度々来日して日本でのライブもLP化された。またこれまでに入荷の無かった希少タイトルでもある。師であるゴリデンヴェイゼルの教えを忠実に守った弟子である、ニコラーエワは生前、ゴリゼンヴェイゼルの教えは正確な技巧と楽譜への忠実さをモットーとしたものだったと語っていた。1982年のこの録音にも教えが忠実に反映されている。バッハ弾きの印象が強いニコラーエワだが実際はロマン派作品の録音も多く、他の巨匠たちとは一味違った清廉なスタイルを貫いたピアニストだった。1982年はニコラーエワはまだ58歳という脂乗った年齢である。26歳でバッハ国際コンクールにて優勝してから停滞なく録音を重ね、初めてショパンの24の前奏曲の録音に至った。早い時期から多くの録音を世に出したピアニストである。大きなキャリアを持ったニコラーエワによる解釈は流石に饒舌であり前奏曲を見事な鑑賞曲に昇華させている稀有な録音である。テンポやペダルを工夫して、これまでに星の数ほど録音されてきた「ショパン:24の前奏曲」を初めて聴いた時のような気分にさせてくれる新鮮な驚きを感じさせる演奏である。コルトーのような模範的サロンスタイルを超えて、ニコラーエワが自身で研究を重ね練り上げたニコラーエワ流の解釈をふんだんに盛り込んだあまりに見事な「ショパン:24の前奏曲」である。ベテランの地位に甘んじることなく、常に進化を止めない優れたピアニストであることを再認識させるLPである。1980年代のMELODIYAのピアノLPは人類の限界に挑戦するような超絶技巧が流れを作ったが、それに逆向するかのようなロマンに溢れ尚且つ斬新な試みを取り入れた見事な演奏である。慣例の通り1番から20番まで曲順の通りに演奏されているがここまで多彩で新しく感じる演奏はベテランの中でもニコラーエワら一握りの巨匠にだけ可能なことに違いない。
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