[Le Chant de Monde] パリQt.(L.ヨルダノフ, J.L.オルー(vn) D.ビンダー(va) G.ブスナール(vc)) / プロコフィエフ:SQ1番Op.50, 2番Op.92「カバルダの主題による」
商品コード: 1296-056
商品詳細:プロコフィエフの弦楽四重奏曲にとって、アナログ期の決定的録音の一つと言えるのが当盤である。プロコフィエフは弦楽四重奏曲に余り食指が動かなかったのか、アメリカ亡命時に嘱託で書いた1番と、第二次大戦(独ソ戦)の疎開中に書いた2番しか無く、制作年も楽曲の趣旨趣向も大きく異なる。結果としてLP期に同一団体で通し録音を行ったのは本国ロシアのプロコフィエフ四重奏団か、弦の国チェコのノヴァーク四重奏団くらいしか存在しない。どちらも素晴らしい内容だが、この2団体と全く異なる方向性の録音を残したのが当盤のパリ四重奏団である。第一Vnのヨルダノフの名を見て分かる通りパリ管の選抜メンバーで結成された団体だが、驚くほどに情報が無い。旧パリ音楽院o.が1967年に発展的解消→ミュンシュの下でパリ管に生まれ変わった際にヨルダノフがコンマスに就任→4年後の1971年に四重奏団を設立という流れらしい。このフレンチ・スタイルの王道を受け継ぐ彼らが弾くプロコフィエフ:弦楽四重奏曲、これが他に類を見ない物となった。トッカータ的な趣向で書かれた一番は、そもそも室内楽とは思えない程の超特急テンポを想定した曲だと思われるが、剛腕で捻じ伏せた印象がある先述した2団体に対し、パリQt.は予想だにしない軽やかさ、清冽さで駆け抜ける。凄まじい高速テンポの中に広がる、曲想に合っているのかすら分からなくなってくる不思議な爽やかさが、曲の狂気を逆に引き立てており、グラン・ギニョール的というべきか、奇っ怪な魅力に溢れている。なんという個性なのだろうと、ただただ感嘆してしまう。疎開先の民族音楽を元にした抒情性の高い2番はアナログ期にも各団体に複数の録音が有るが、ここでも不思議な爽やかさは健在。この軽妙かつ大胆な表情付けを見せられてしまうと、他の団体が楽譜から読み取ったであろう「常識的な音楽表現」が野暮ったく感じてしまいかねない。この印象はまさしくパリ音楽院で結成されたパルナンQt.のラヴェル(仏PACIFICの2回目録音)を聴いた時のものと同じで、現代の演奏家ですら未だ追い付けない先見性が有るのか、とにかくフランスの団体が持つ音楽的な個性は尋常なものではないと改めて感じる。室内楽のコレクションの末席に加えるに相応しい内容。尚、レーベルにMELODIYA表記は有るが、シャン・デュ・モンド企画でフランスのみの発売と思われる。今回は両面ともに若干のコンディション難が有るため格安でご提供する。
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