[COLUMBIA] E.シュヴァルツコップ(s) W.ギーゼキング(pf) / モーツァルト:歌曲集
商品コード: 1296-019
商品詳細:1955年に出された、まるまるモーツァルトの歌曲を入れた最初の12"LPである。今の耳で聴くと、多分にシュヴァルツコップのクセが前面に出ているが、1950年代には、まだ様式などというものが行き渡っていた筈もなく、画期的な録音だった。ピアノにギーゼキングを起用したのも、モーツァルトを意識した結果か?確かにピアノに関しては、まったく文句ない。彼女の声はまだ若々しく、晩年の苦しさはない。名盤として文句無く頷ける完成度。シューベルトはエドウィン・フィッシャーでモーツァルトがギーゼキングとはウォルター・レッグも中々冴えた采配であったと感心する次第。特にモーツァルトにはもっと適役の歌手がいたのではと考えたいが、ウォルター・レッグが全ての権限を握っていた当時、自身の奥さんを主役に据えた点は致し方ないだろうと思われる。結果的にこれはこれはで歴史に残る録音になったと思われる。実際シュヴァルツコップのレパートリーの多くはレッグが決定していたそうで、そのようなことを彼女自身が語ってもいる。膨大な数のオペラや声楽を含む大作に出演し、大舞台の歌手という印象が強いのだが、ドイツ・リートを歌うシュヴァルツコップも唯一無二の存在として当時から高い評価を受けている。但しその個性的な声質から好みが大きく分かれる歌手であることは確かだろう。しかし声質は別として、シュヴァルツコップの表現能力は特別に高いレベルのものである点は間違いがない。かのフルトヴェングラーはその表現力に惚れ込み、ピアノ伴奏を自ら買って出たヴォルフの歌曲集が有名である。シュヴァルツコップはドイツ・ロマン派でその能力を最大限に発揮することは確かである。その力をモーツァルトの歌曲に注いだ録音がこのLPである。好き嫌いがあって当然だが、一度白紙の状態で改めて聴いてみると、新たなものが見えてくるという事もあるだろう。
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