商品コード:1298-034n[MELODIYA] E.ギレリス(pf) / スカルラッティ:Pfソナタ(5曲), ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ(3曲)
商品コード: 1298-034n
商品詳細:両面とも1955年録音で1956年初リリースとなったギレリスの初期モノラル録音。特にA面のスカルラッティのソナタは珍しい。ギレリスのスカルラッティのソナタはこの5曲以外にも数曲の録音があるようであるがそれらも1955年に集中して録音されたようである。エミール・ギレリス(1916-1985)はウクライナ・オデッサのユダヤ人の家庭に生まれるたピアニスト。オデッサ(オデーサ)音楽院へ入学し、ベルタ・レイングバルドから薫陶を受けた。1931年には、音楽院を訪れたアルトゥール・ルービンシュタインに認められ、その勧めで1933年には17歳にして第1回全ソ連ピアノコンクールに参加し、満員の聴衆が総立ちになる演奏を披露して優勝した。1935年にオデッサ音楽院を卒業すると、すぐモスクワ音楽院に入学し、2年間ゲンリフ・ネイガウスに師事した。1936年にはウィーン国際コンクールで第2位となり、1938年にはブリュッセルで行われたイザイ国際コンクールで優勝した。なお、この大会にはアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリも参加したが第7位に終わっている。1956年に日本も訪れた。1955年にはフィラデルフィアでチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏し、アメリカ・デビューを果たした。妹のエリザベス・ギレリス(1919- 2008)はレオニード・コーガンと結婚している。ソ連政府からは、1946年にはスターリン賞、1961年と1966年にはレーニン勲章、1962年にはレーニン賞をそれぞれ受賞している。旧ソ連当局から出稼ぎが許された数少ない音楽家の一人。ギレリスは鋼鉄のタッチと通称される完璧なテクニックに加えて甘さを控えた格調高い演奏設計で知られる。ベートーヴェンの演奏で評価が高く、音楽評論家の吉澤ヴィルヘルムは、ネイガウス門下の中で最もハンス・フォン・ビューロー以来の伝統を受け継いでいたと記している。スヴャトスラフ・リヒテルはギレリスによるヨハネス・ブラームス:ピアノ協奏曲第2番の演奏を称賛し「だから私はこの曲を弾かない」と記している。『ニューヨークタイムズ』の音楽評論家であったハロルド・C・ショーンバーグは、ギレリスについて「比較的客観的な視点を持った力強く明快で健全な演奏家で、感情的に音楽に溺れることを自ら戒めていた」「力強いが飾らない音楽性によって、楽で自然な感じで演奏をした」と評している。確かにギレリスの演奏は辛口で無駄な音がないが音楽は豊かであり、味わいは深い。スカルラッティはメイエルに代表されるパリスタイルではなく、合理主義に基づいた抑制力の効いた演奏になっている。ショスタコーヴィチでは逆に古典的で幻想ふくよかな演奏になっている。
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