[DECCA] W.バックハウス(pf) K.ベーム指揮ウィーンpo. / モーツァルト:Pf協奏曲27番K.595, Pfソナタ11番K.331
商品コード: 1298-021
商品詳細:この録音のステレオSXLは超高価な事で知られている。モノラルも驚くほど音質が良い。決してステレオの代用品ではない、モノラルの魅力溢れる録音。ステレオより数年早く発売されたようだ。27番の決定盤として有名であると同時に、ベームの指揮も文句のつけようのない見事さ。そしてソロ・ピアノの宝石のような音色は、これ以上ないと思われるほどの快さ。英/仏/独の3ヵ国から発売されており、それぞれ国の特徴が出る。1955年ウィーンで録音されたバックハウス唯一のモーツァルト協奏曲。曲はモーツァルト最後のPf協奏曲で亡くなる年の1791年に書かれた。クラリネット協奏曲K.622もこの年に書かれている。Pf協奏曲27番は変ロ長調で始まる明るい曲調ではあるが、最晩年の作品に共通する音調を示しており、深みのある名作である。バックハウスが1曲だけ選んだモーツァルトのPf協奏曲がこの曲であった。ベートーヴェン弾きであり男性的ピアニストの代表格であるバックハウスのモーツァルトの1曲はそれなりに考え抜かれたもののような気がする。若書き作品をバックハウスが弾いてもピンとこないだろう。27番だからこその録音であろう。モーツァルトの最晩年に潜む、心の機微を描けるピアニストという点で納得の選曲ではないだろうか?バックハウスの枯れ具合が上手く27番とマッチして、モーツァルトが描きたかった世界がしっかり表現されているように感じる。これら言葉で説明の難しいニュアンスがバックハウスとベームから醸し出され、聴いた人間は納得出来るのである。武骨で、無愛想なイメージのバックハウスが語るモーツァルトの最期が妙にしっくりくる。老練な役者のように細工なしでただ淡々と弾いたことにより表出する滋味こそがこの演奏の真価である。厳しさが感じられる寸前の所で止めている心憎い経験値が聴いた人の感動を誘う。名手とはそういう事がさらりと出来る芸術家なのだろう。ステレオも存在し、既に10万円を超える価格になってしまったようである。しかし1955年のモノラルが出来立てのステレオに負けるはずもなく、当然モノラルを推薦する。
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