[DECCA] C.クラウス指揮ウィーンpo. / R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」Op.30
商品コード: 1303-019p
商品詳細:クレメンス・クラウス(1893 - 1954)はオーストリアが誇る偉大な指揮者である。年齢的にはフルトヴェングラーの7歳年下で、1912年からウィーン音楽アカデミーで作曲家ホイベルガー、およびグレーデナー、ラインホルトらに学ぶ。各地の歌劇場で研鑽を積んだ後、1922年に自身もウィーン音楽アカデミーの教授に就任した。1922年から1924年にかけてはウィーン国立歌劇場の指揮者を、1924年~1929年にかけてはフランクフルト市立劇場の総監督を務めた。また、1929年にはニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団を指揮して新大陸デビューも果たした。1954年メキシコで行った演奏会の直後に心臓発作のため61歳で急逝したという。クラウスのスタイルは、細部まで極めて緻密に仕上げられ、かつ速めのしなやかなテンポによる緊張感にあふれたものである。クラウスに師事したオトマール・スウィトナーによれば、当時の指揮者でバトン・テクニックに優れていたのはクラウスとクナッパーツブッシュの二人であったという。オーストリアを代表する指揮者だけありクラウスとウィーン・フィルは切り離せない関係だが、クラウス時代の演奏を現代で使われる「ウィーン風」と表現するのには違和感がある。現代では優美さと共に軽薄な意味を持つ言葉となってしまったからだ。少なくとも後任のボスコフスキーの「ウィーン風」とは全く異なり、もちろん優雅さも有るが迫力に満ちている。まるでパワーを最優先しているかの様な「ウィーン風」である。オーディオファイルとして有名なカラヤンのDECCA録音ですら、このクラウスと比べれば小さく感じるほどである。単に優雅なだけではなく、力強さと優美さが同居する、今日では考えられない原初の「ウィーン風」である。クラウスのDECCA録音を聴く事で、我々は本物の「ウィーン風」を知ることとなる。ひとつの文化体験である。クラウスを聴く前と聴いた後、つまりクラウス体験の有無が「ウィーンの音楽とは何か」について話し始める出発点と言える。クラウスに触れた人と触れていない人がウィーンの音楽について語っても、最後まで交じらわない不毛な会話となってしまう事だろう。DECCAの1950年代には超が付く重要な指揮者が沢山いたが、クレメンス・クラウスこそがその頂に鎮座するに相応しい指揮者であると確信できる。1960年代~1970年代にステレオ録音された「ツァラトゥストラ~」を聴き込んだ方にこそ聴いてほしい演奏である。全くの別世界が広がり、同じ曲とも感じないほどの演奏である。この作品単独の評価においても不毛な会話が生まれる原因となる演奏なのである。クラウス自身はシュトラウス本人との交遊も深く、当盤こそ「ツァラトゥストラ~」の理想像だろう。一度聴けばステレオの「音の良さ」などは幻想に等しいことが理解されるはずである。
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