[DECCA] A.B.ミケランジェリ(pf) / ミケランジェリの芸術/ベートーヴェン:Pfソナタ32番Op.111, ガルッピ:Pfソナタ5番, D.スカルラッティ:ソナタ(3曲)
商品コード: 1304-045p
商品詳細:ミケランジェリの珍しいDECCA盤。1964年イタリア録音で音源はイタリアの会社B.D.M. Musicが持っている。B.D.M.はポピュラー/民族音楽系の音楽を中心とするレーベルでクラシックは1枚も出していない。またこの「ミケランジェリの芸術」のLPは自社から出していないと思われる。単純な音源保有で、DECCAに音源貸出としての名前を連ねているだけと思われる。録音嫌いで有名なミケランジェリがよくDECCAと契約したものだと思っていたら、ミケランジェリとDECCAとは直接関係のない録音だった。商業的にDECCAから発売されたというだけらしい。1970年頃から考えが変わったらしくDGGと契約を交わし多くの録音を行ったが、SP期~1970年頃までは正式なスタジオ録音が極めて少なかったピアノの鬼才である。逆にライブ録音は、非正規盤など際どいものを含め、ものすごい数がカタログ上に存在している。しかしそれらは音質の点で満足できるものは少ない。有名なラヴェル/ラフマニノフのEMIスタジオ録音が1957年なので、1960年代の正規録音は非常に少ない。これを正規録音とするかについて100%の情報はないが、恐らくイタリアのどこかで録ったスタジオ録音ではないかと思われる。一応ステレオだが正規DECCA録音のようなしっかり分かれるステレオではない。とはいえ、良い時期の録音であることは確かで、ミケランジェリらしい自由奔放さと美しい音を感じることができる。B面のバルダッサーレ・ガルッピ(1706- 1785)はミケランジェリがよく取り上げる作曲家で、イタリア・ヴェネツィア生まれ。とりわけオペラ・ブッファの作曲家として著名である。日本人に馴染みはないが、この曲こそ当LPのハイライトではないかと思われる。ミケランジェリが取り上げなければ今もって知られない作曲家だろう。このソナタに対し、ミケランジェリの姿勢がやけに真面目なのが気になる。A面のベートーヴェンでは当然のごとく弾き崩しや勝手なテンポなどがみられるが、ガルッピに対してそのような態度は皆無に感じる。ガルッピでミケランジェリの隠れたリリシズムを存分に楽しめる。本当にシンプルに情感を込めて弾いた姿に敬意の念を感じるのである。そして最後にスカルラッティのソナタ3曲を持って来ている。ここではまた一癖あるピアニストに戻り、決してガルッピに対する態度と同じではない。そういう意味でこのLPのハイライトはガルッピであると申した次第。
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