[CBS] P.カザルス(vc) A.シュナイダー(vn) M.ホルショフスキ(pf) / ホワイトハウス・コンサート・1961/メンデルスゾーン:PfトリオOp.49, シューマン:アダージョとアレグロOp.70, カザルス:鳥の歌, クープラン
商品コード: 1305-059
商品詳細:1961年11月13日、ホワイトハウスで、時の大統領J.F.ケネディを前にした世紀のコンサートを知らぬ人はいない。また、このCBSソニー盤でクラシックに目覚めた人もいらっしゃると思う。今回、英国オリジナルプレス(音源は米Columbia)。米プレスとの違いは音楽がより深く体に浸透してくると言えばよいだろうか。鳴っている音は同じなのに、脳の奥深くまでカザルスの音が入り込んできて、感情を刺激する力が強い。これは確かだ。鳥の歌のカザルスの叫びが生々しい。パブロ・カザルス( 1876- 1973)はスペインのカタルーニャ地方に生まれたチェロ奏者、指揮者、作曲家。チェロの近代的奏法を確立し、深い精神性を感じさせる演奏において20世紀最大のチェリストとされる。カザルスは、スペイン内戦が勃発するとフランスに亡命し、終生フランコ独裁政権への抗議と反ファシズムの立場を貫いた。このことは、ナチス・ドイツに迎合する姿勢を示していたコルトーとの決別、カザルストリオの解散へとつながった。スペイン内戦を避けて1939年にプラドへ移り、第二次世界大戦後の1945年に演奏活動を一時的に再開するが、各国政府がフランコ政権を容認する姿勢に失望し、公開演奏停止を宣言する。この間、多くのチェリストがカザルスのレッスンを受けるためにプラドを訪れた。カザルスはフランコ独裁政権を承認する国での演奏活動は一切拒否と宣言している。米国はフランコ独裁政権に対しては批判的な立場を維持していた。時は1961年、アメリカ大統領ケネディがホワイトハウスでの演奏会を依頼した。名目はプエルトリコ総督ルイス・ムニョス・マリンを主賓とする晩餐会での演奏会だったらしい。カザルスは悩んだものの、プエルトリコが彼の母と妻の故郷だったことから、A.シュナイダー(vn)M.ホルショフスキ(pf)の3人で同年11月13日ホワイトハウスにてトリオ演奏会を行った。この演奏会にはバーンスタイン、オーマンディ、ストコフスキーという有名指揮者、バーバー、カーター、コープランド等の作曲家も招待されていたらしい。LPとして発売されたのはこのトリオの約1時間のライブ録音である。LP化の過程で省略された曲があるのか不明だが、しっかりアンコールのカタロニア民謡の「鳥の歌」で締めくくられている。その内容はスタジオ録音とはかけ離れた生きた音楽が空間を満たす奇跡をしっかり封じ込めている。ジャケットはその一瞬を切り取ったモノクロ写真が使われた。 聴衆にはバーンスタイン、ストコフスキーなど、錚々たる人達がいた。最前列にはJ.F.ケネディと妻のジャクリーン・ケネディの和んだ様子がしっかりと収められ、歴史の証拠として世界に配給された。大統領の横には、この日の主賓であるプエルトリコのルイス総督が居る。天井には水晶のシャンデリア、壁には大きな肖像画が掛かっている白の舞踏室が印象的。カザルスは自身の著書「パブロ・カザルス 喜びと悲しみ」の中でこのコンサートとケネディの印象について詳しく回想している。ケネディはこのコンサートから約2年後の1963年11月22日にテキサス州ダラスで銃弾に倒れた。
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