[COLUMBIA] S.フランソワ(pf) / Samson François Chopin-2/ショパン:Pfソナタ2番Op.35, 夜想曲Op.15-1, 練習曲Op.25-2, 10-12, ワルツOp.70-3, 64-2, ポロネーズOp.22
商品コード: 1305-032
商品詳細:フランソワ初期のショパンリサイタル。モノラルのみの録音。ステレオ期になってフランソワは少々、饒舌になったような気がする。しかし、この頃の彼はまだまだ自由奔放の限りを尽くしているようだ。正統なショパンとは言えないが、ショパンをこれだけセンチメンタルに弾いてみせて、嫌味にならないのは他にはコルトーくらいしか思い浮かばない。いかにもフランス趣味が濃厚、これはフランス人達がフランソワに望んだ音楽に他ならない。デカダンスの香りが立ち込める。サンソン・フランソワ( 1924-1970)、フランス人に愛されたピアニスト。フランス人の両親の下、1924年独・フランクフルトに生まれる。エコール・ノルマル、パリ音楽院と学び、M.ロン、ルフェビュールに師事。1943年第1回ロン・ティボー・コンクールの優勝者。1970年ドビュッシーの全曲録音の途中、46歳で没。演奏スタイルは、晩年に近づくにつれて、より個性的になった。真の芸術家タイプ。19世紀的なスタイルを'60年代に残し続けたが、酒で命を落とした。彼のショパンには天才の閃きが散りばめられている。即興性も感じられ、自然ながら独創性に満ちている。演奏の歴史を見てもここまでしっかりと伝統的な手法を行いつつ個性を展開するスタイルは他になく天才の域なのだろう。テンポは自在に操るが聴いている方はさほど違和感を感じないという不思議な現象で、普段乗り物酔いに敏感な方がある運転手の時だけ全く問題が起こらないという現象に似ている。勿論ロマンチックであるが必ずしもフランソワの聴かせてやろうとする意図ではなさそうである。感じるままに弾いたら結果的にそうなったにすぎない。だがら大衆的人気の大きなピアニストとは逆のことを平気でやってのける。サビの部分をそっけなくすっ飛ばす。Bメロに対して異常なほどの愛着を寄せるなど、気分が優先する彼独自の感覚の世界に引きずり込まれる。何が起こるか先が読めない面白さ、楽しさこそフランソワが愛される秘密と感じる。一度じっくり聴き終わってもなぜか思い出せない、反復できない。その悔しさ、してやられた感覚こそが彼の持ち味だろう。フランソワのショパンを一言でいうなら「デカダンス」という言葉がぴったりくる。しかし決して嫌味ではない愛すべき不健康さが感じられる。しかも意外性、想定外の展開などはフランソワにしかできない世界感!
フランソワの在庫一覧へ