[PHILIPS] C.ハスキル(pf) / シューマン:アベッグ変奏曲Op.1, 雑記帳Op.99-1~8
商品コード: 1307-006
商品詳細:ハスキルのようなデリケートな感性のピアノは、音と音の間に情報がつまっていて、再版でこの情報が欠落すると、干からびたつまらない音になってしまう。決して明快とは言えない彼女のピアノの魅力は初期プレスでしか味わえないのだ。言葉にならない言葉のように、ニュアンスが命のハスキルをこれなら完璧に味わえる。ハスキルのシューマンは子供の情景Op.15/森の情景Op.82/アベッグ変奏曲Op.1/色とりどりの小品Op.99-1~8の4曲入りの12":A 00372 Lが知られる。この12"はアベッグ変奏曲Op.1/色とりどりの小品についてはオリジナルではない。この2曲は1952年4月にモノラル録音され、「色とりどりの小品」は1954年・A 00108 L(+シューベルトPfソナタ21番・12")にて初リリースされ、それが初出となる。翌1955年PHILIPSでは「アベッグ変奏曲」+「色とりどりの小品」をカップリングした7"(45回転盤)を制作発売した。その後、子供の情景 :1955年5月/森の情景:1954年5月が録音され、1956年に12":A 00372 Lで発売する予定となったが2曲分足りないので、既に発売されていた「色とりどりの小品」と「アベッグ変奏曲」の2曲を追加してハスキルのシューマン・ピアノ作品集として4曲入り12"でリリースしたものが皆さんがよく知る12"である。従って「子供の情景」と「森の情景」の2曲はその12"・A 00372 Lが初出となるが、「アベッグ変奏曲」と「色とりどりの小品」はオリジナルではないという点を確認いただきたい。録音時期が異なる曲を出す場合、7"/10"/12"の3種が混在していた1950年代では、どうしてもこのような事が起こる。ここでの結論は当7"である400 010 AEは1955年発売で「アベッグ変奏曲」はオリジナル、「色とりどりの小品」は第2版となるという事である。ただし、1年違いの12"カットの「色とりどりの小品」と7"・45回転カットを比較すれば何方が音質が良いか実際に比較試聴しないとわからないという事である。回転数の早い7"盤が良い可能性は十分にあるが、単に回転数が早ければ良いとも100%言えない場合が出てくる。このあたりがアナログの悩ましいところで確実にいえることは1956年リリースの12"に入るケースより、先に出た12"または7"・45回転カットの方が良いことは100%断言できる。今度は曲数と発売の前後という問題に直面することとなる。いずれにしてもあらゆる点で「アナログは悩ましい」という結論に辿り着くこととなる。
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