[DECCA] C.カーゾン(pf) H.クナッパーツブッシュ指揮ウィーンpo. / ベートーヴェン:Pf協奏曲4番Op.58
商品コード: 1308-053
商品詳細:DECCAでベートーヴェン:Pf協奏曲4番の最初の録音は1951年5月バックハウス/クレメンス・クラウス/ウィーンpo.であった。カーゾンは2回目となる。クリフォード・カーゾン(1907 - 1982)はロンドン出身。「ペルシャの市場にて」などで有名な作曲家、アルバート・ケテルビーの甥である。王立音楽アカデミーに学ぶ。1923年にプロムスで公開デビューを果たした。1928年から1930年までベルリンに留学してアルトゥール・シュナーベルに、その後パリに留学してワンダ・ランドフスカとナディア・ブーランジェにも師事。英国きっての古い時代のピアニストである。カーゾンのスタイルはいかにも英国紳士風であり、DECCAのプロデューサーのジョン・カルショウからの信頼も厚かったらしい。ジョン・カルショウはカーゾンを尊敬していたという。録音嫌いだったために、残された数少ない録音は一枚一枚が貴重な宝物といえる。1949年9月のジョージ・セル/ロンドンpo.とのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』がDECCAでの最初のLP録音と思われる。ドイツ=オーストリア系の作品を得意とし乱造をせず、録音は非常に丁寧に行った事が窺える。このベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番は1954年4月、ウィーンにて大物指揮者ハンス・クナッパーツブッシュとの共演となったモノラル録音。1957年6月には同じメンバーでベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』のDECCAで初のステレオ録音を行いベストセラーLPとなった経緯がある。ステレオの『皇帝』もこの4番の録音があったから実現したものだろう。クナッパーツブッシュとは1955年7月にブラームス:ピアノ協奏曲第2番もモノラル録音している。クナッパーツブッシュとはこの3曲が全てと思われる。オケの勢いは流石に素晴らしく、クレメンス・クラウスと同格といえる。聴き始めて、オケパートが始まるとこのままオケ作品として聴いていたいと思わせる風格の漂う演奏である。「皇帝」協奏曲に比べ格が落ちるような印象の4番だが上手いオケを聴くとそんな考えは消えてゆく。ピアノが入ると音楽は突然協奏曲のモードに切り替わり、カーゾンの誇張はないが美しい球を転がすような音に釘付けとなる。仕上がりではバックハウス/クレメンス・クラウスと比べて全く遜色はなく、好みの違いとなろう。録音の違いもあるが、カーゾンの方が一音の持つ深みを感じる。バックハウスの方がソロに関してはそっけない印象を感じた。クナッパーツブッシュはクラウスよりダイナミックな展開を好むようである。全体の印象で1951年のバックハウス/クラウスは落ち着いて纏まリが良い。1954年のカーゾン/クナはよりエキサイティングな効果を出している。DECCAは1955年までに2つの名演を世に出した。「皇帝」協奏曲も1957年までにカーゾン2種(1949年/1957年)、バックハウス1種(1953年)の3種を出している。DECCAでこの分野ではバックハウスとカーゾンの2人が背負っていたっことが解かる。2人は23歳の違いこそあるが片やドイツ流、片や英国流の代表格として同じレーベルで凌ぎを削っていた事がわかる。2人とも録音人生の大半をDECCAで過ごした。カーゾンにはバックハウスにはない独特のリズム感を感じる。
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