[DECCA] W.ケンプ(pf) J.クリップス指揮ロンドンso. / シューマン:Pf協奏曲Op.54
商品コード: 1308-051
商品詳細:ケンプDECCA時代の名演。モノラル録音で、初出は1953年。シューマンの協奏曲は録音が多い為に名演も多いが、このケンプのモノラル録音も'50年代の名演の一つに入れて差し支えないと思う。DECCAらしい骨太のオケに、ケンプの優しげな表情のソロが乗る。太く、重く、ほのかに甘味がある優美な演奏。オケもシャープで、しっかりした重さがありながらも鈍さは感じられない。ピラミッド型のフォルムで安定した名演だ。ヴィルヘルム・ケンプ(1895 - 1991)はドイツ・ブランデンブルク州ユーターボークの生まれ(冷戦時は東側)。ベルリン音楽大学でロベルト・カーン(作曲)とカール・ハインリヒ・バルト(ピアノ)に師事。1920年よりSP録音を始める。1932年にはベルリンのプロイセン芸術協会の正会員となり、ドイツ楽壇の中心的役割を担うようになった。1930年代にはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集録音の2人目の挑戦者となったが全集には至らなかった。1920年代から1940年代はDGGにSP録音を多数残している。その後途切れることなく1980年頃までDGGに録音を続けた。しかし1949年頃から1958年頃までDECCAに籍があり、録音を残している。しかし同時期にDGGにもモノラル録音があり、DECCA時代は完全にDGGとかぶっていたことになる。当時このような契約はかなり特別なものだったのではあるまいか?1958年のショパンの3枚を最後にDECCAを去った。それでも帰る場所があったことは良かっただろう。DGGのモノラル期も素晴らしいが、DECCA時代はそれにも増して遺産と呼ぶにふさわしい録音が残された。シューマンは1953年3月の協奏曲。1951年11月に「蝶々」Op.2より序奏、アラベスク ハ長調Op.18などを録音している。結局DECCA時代のシューマンはこの協奏曲が1枚と、ソロ2曲がリスト:ペトラルカのソネット47/104/123番とシューマン/リストのカップリングの独奏LPが1枚の合計2枚で全てである。そうなれば、一層この協奏曲は貴重といえる。バックはクリップス/ロンドンso。翌1954年6月にはフィストゥラーリ指揮でリストの協奏曲2曲を録音してる。リストはLXT 2572とLXT 2670で独唱曲を出していて、DECCAとしてはこのあたりのロマン派作品をケンプに任せた感が見える。ケンプのソロは豊かな音で鳴っており、DECCAの録音の良さと相まって、よくあるシューマンの協奏曲だが特別感を感じる内容である。シューマンの名演奏家はコルトー、ナット、リパッティなどフランスにも多いのだがドイツのピアニストではケンプこそがその代表だろう。フランス系よりロマンチック過ぎることはないのだが、深みのある音はいつ聴いても心に沁みるものがある。ケンプは1973年クーベリック/バイエルン放送so.とDGGに再録音したが、勿論この初回録音を超えることはない。1958年頃10"も発売された。
ケンプの在庫一覧へ