商品コード:1316-002[ERATO] H.ボッシ(pf) / クレメンティ:ソナタ集
商品コード: 1316-002
商品詳細:イレーヌ・ボッシ(1917 - 1990)はスイス・ローザンヌ生まれ。Wikipediaではエレーヌ・ボスキとしているがローザンヌがフランス語圏であること、名前のHélène がフランス的であること、そしてボスキがイタリア読みであることから判断して、両親がイタリア人でその苗字を堅持してない限りボスキではないと思われる。当社でも一時ボスキとしていた時期はあるがフランス読みではイレーヌ・ボッシ以外にないことから、当社ではイレーヌ・ボッシで統一した。ボッシは、エコールノルマル音楽院でイヴォンヌ・ルフェビュールに師事し、アルフレッド・コルトーの薫陶も受けた。演奏活動と教育活動を並行し、1952年にはアントニオ・ソレールのソナタ集を録音してフランス・ディスク大賞を受賞している。1955年から1965年までフランス国営放送の専属のピアノ奏者として活動。クララ・シューマンのピアノ作品および室内楽の録音を残したほか、1976年にツヴィッカウ市からロベルト・シューマン賞を贈られるなどしている。東はSUPRAPHONからフランス・レーベルまで恐らく10以上の異なるレーベルに録音がある職人のような女性ピアニスト。非常に録音の多いボッシだがLe Club Français Du Disqueまで幅広く録音がある。またボッシはバロックから現代まで幅広いレパートリーを持っている。1950年代から多くのレーベルに入れているので体系をまとめることは困難だろう。ボッシの得意な音楽は何かと考えても意味がないほどあらゆる曲を録音している。フレンチスタイルに近く、そこにややドイツ風のかっちりした要素が混じる独自のものがある。音色の使い方がうまく、綺麗な音を出す。テンポは遅めに取り、穏やかな雰囲気を出す。ボッシのピアノには安心感があり、クセが少ないので、いつ取り出して聴いても満足を与えてくれるピアニストであろう。クレメンティ(1752-1832)のこの録音は1950年代後期の録音と思われ、イタリア人作曲家であるクレメンティを意識してか、チェンバロではなくピアノフォルテのために書かれたこれらのソナタをバロック風ではなく、ロマン派的作品としてのアプローチで演奏している。メイエルのスカルラッティやラモーとは異なる意識を感じる。幅広いレパートリーを持つボッシであるが演奏スタイルは多彩で決して一辺倒ではない。だからこそ、どのような意図で向かっているかは重要な要素となる。クレメンティは約100曲のピアノ・ソナタを残しており、特に1780年代にウィーンとロンドンで書かれたソナタは古典派音楽の交響的ソナタとしてベートーヴェンの先例をなす。実際、ベートーヴェンは、ピアノ曲に関してはモーツァルトの作品よりもクレメンティの方がピアニスティックで素晴らしいと評価している。クレメンティは日本ではマイナー扱いだが奥行きの深い作品たちである。
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