商品コード:1335-031[HMV] A.トスカニーニ指揮/ ブラームス:交響曲4番
商品コード: 1335-031
商品詳細:米国RCAはLM 1713。英プレスは音が柔らかく、聴きやすい。英RCA社からも出ているが年代は後になる。初出は1953年の発売(フラット盤)。1951年の古い録音なので、'50年代後半のものに比べ、音はやや貧しいが、それでもトスカニーニだけが持つスタイルは、はっきり体に入ってくる。この4番はそれ程早足ではない。内省的に深く、渋さが際立っている。このような曲こそ、トスカニーニはあえて情感を排して仕上げた。その方が、聴く者のイメージが膨らむことを知っていたのだろう。フルトヴェングラーとトスカニーニという対極にある2人の大指揮者が、同じHMVの同一シリーズから出ていたというのも面白いが、時代というのは不可思議なもので、フルトヴェングラー優位の時代は終わろうとしている。今、改めて、このテンポと表現が再評価されている。音質は非常に良い!トスカニーニ・ファンよ大手を振って歩け! 尚ある学者による見立てではフルトヴェングラーとトスカニーニの人気の推移はその時期の景気をある程度反映するという説である。景気が良い時期にはフルトヴェングラーが優位となり、景気が後退するとトスカニーニの人気が上がり始めるという。27年間の営業を続けてきた経験からこの説は実体験で信憑性が高いと言わざるを得ない。レコードのトレンドも経済学で推理できることに驚いたが、それが現実であることを見ると、人間の行動理論は本当にあるのだと認めざるを得ない。フルトヴェングラーの絶頂期は今完全に終息している。トスカニーニが素敵に感じてしまう空気が今世の中を支配しているようだ。ところでフルトヴェングラーには弟子はおらず後継者もおらず一代限りの芸風を持った指揮者であり、対してトスカニーニはフルトヴェングラー以外の全ての指揮スタイルの中興の祖であるという説も多く耳にすると思われる。この説も説得力があり、マクロ的な目で見て大きな間違いはないと感じる。「現代のほぼ全ての指揮者はトスカニーニを源流としている」--という解釈が成立する。一見粗っぽい説だが一理あると思っている。そういう視点からトスカニーニを改めて聴くと新たなことが見えてくるかも知れない。
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