商品詳細：クリュイタンス以降ラヴェル管弦楽曲全集における決定盤。1975年の仏録音、英・仏・独で発売。協奏曲を含む全ての管弦楽曲を収録した5枚組で、今日聴く機会が少なくなった「ダフニスとクロエ」の全曲版(組曲ではない)の収録、さらに5枚目に入るチッコリーニのPf協奏曲は単売なし、この箱唯一の録音と、見逃せない内容となっている(当品では5枚目の欠品によりPf協は鑑賞不可)。マルティノン(1910-76)は仏リヨン生まれの指揮者。パリ音楽院、イスラエルpo.、パリ・ラムルーo.、シカゴso.、ハーグ市立o.…と要職を歴任、'68～'74年フランス国立放送o.の音楽監督を務め、ミンシュ以降の仏において重鎮にあった。このラヴェル全集も、今なお評価の高いドビュッシー全集と並び、マルティノン独自の感性が光る、画期的で存在感たっぷりの箱物だ。客演で、フランス国立o.といわば敵対関係にあったパリo.との共演が実現したことは興味深い。当時の音楽界を牽引していたマルティノンと、モダンな新星オケの共演というこの企画は大いに注目を集めた(但し、この録音がフランス国立o.辞任の実質的な要因となったともされる)。多様な楽器が幾重にも色彩の層を作り、翼を広げていく様子は実に神秘的で、まるで大きな一つの生命体の誕生を見るよう。ラヴェルのオーケストレーションの妙が、これほど生々しい感触をともなって体感される演奏は他にない。(KT)

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