商品詳細：ドビュッシーは旋法や和声法など、自身に影響を与える様々な要素を己の芸術のために広く取り込み発展させたが、彼の音楽はどこまでも個人的・感覚的な心地好さを得ることに正直であった。その作風がよく出ているのが歌曲で、輪郭や境界の曖昧な雰囲気や空気感は、論理的な思考を超えて聴く者の内的なイマジネーションに直接働きかける。一方ラヴェルは、言うなれば人の「知」に作用する魅力がある。この歌曲集の曲題にも見られるように、東洋、スペイン、ギリシャ、イタリア、マダガスカルなど、彼は古今東西の異国文化を取り入れ、それらを公的に作品中に生かすことに成功した。しかしその特色は各曲の間で明確に区別化されている点で、ラヴェルの作曲姿勢がドビュッシーとは対照的に、常に実験的・職人的な態度に貫かれていたことを証明する。スペインのベルガンサ、英国のロット、米国からノーマン、仏メスプレ他、各国の歌手による歌声が集い、国際色豊かな一箱に仕上がった。なお、ドビュッシー歌曲集(VSM:2C 165-16371-4)でもピアノを務めるボールドウィンの弾き分けぶりにも注目。(KT)

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