[ERATO] P.バルビゼ, J.ユボー(pf) / 「シャブリエ:Pf作品全集」10の絵画風小品, ミュンヘンの思い出, 3つのロマンティックなワルツ 他
商品コード: 1223-064
商品詳細:シャブリエのピアノ曲集はA.ダルコ、チッコリーニの演奏がよく知られているが、いずれも全集では無い。恐らくこれでしか聴けない4手と2台の作品が収められているだけでも、この箱は意味がある。ここでのバルビゼの演奏は、決して軽妙洒脱なフランス風とは言えない。特有の強靭なタッチにより生み出される、熱い、彫りの深い演奏である。シャブリエの曲にはこのような一面もあったのだなと思わせてくれる。録音もERATOならではの最上。ピエール・バルビゼ(1922-1990)はチリ生まれのピアニスト。フランスに帰化した。パリ音楽院に学び、1944年にピアノ科の首席となる。また音楽史や室内楽でも首席に輝いた。1948年にスヘフェニンヘン国際コンクールのグランプリに輝き、1949年には、ロン=ティボー国際コンクールの5位に入選した。ご存じクリスチャン・フェラスとのデュオで長年コンビを組んで多くの室内楽における名演を残した。バルビゼのソロ録音は少なく、モノラル期にBAMにモノラル録音したモーツァルト協奏曲やLe Chaut de MondeのモーツァルトPfソナタが思い出されるものの確かに少ない。ベートーヴェンも実はモノラルでBAMにPfソナタ7番Op.10-3/28番Op.101が残されている。しかし大半がクリスチャン・フェラスとの共演でそのため伴奏ピアニストとしてのイメージが定着してしまっているがソリストとしては一流である。1963年頃クリスチャン・フェラスと一緒にDGGに移籍したがクリスチャン・フェラスばかりが注目を浴び、カラヤンに気に入られ多くの録音を行ったのに対し、バルビゼは仕事が少なく、僅かなフェラスとの共演があっただけである。DGGでは冷遇された。しかし相棒のフェラスは精神を病み結局自殺してしまう。相棒を失い、録音の機会もないバルビゼが途方に暮れたことは容易に想像がつく。1960年後半~1970年代は殆ど録音が無かったが、1970年代後期に心機一転ERATOに移籍し、ベートーヴェンのソナタ3曲を残した。この時バルビゼはまだ57歳であり本来ならバリバリと録音ができる才能と体力があった事を考えると、全く惜しい才能を枯らしてしまった。晩年とまで言えない年齢だがバルビゼのベートーヴェンは気力も漲り時折強い瞬発力で放たれる打鍵にはまだまだいけるという印象が強い。ベートーヴェンは殆ど話題となることもなかったようだが、その後1982年に録音したシャブリエのピアノ作品全集は大きなインパクトがあった。大御所ジャン・ユボーを第2ピアノとして行われた。これまでVOXにR.キリアコウ/W.クリーン(pf)の録音があっただけであった所に現れた理想的なフランス人たちによる録音は信頼性の面でもついに満足出来る録音が出たという事である。このように纏まって良い演奏が聴けるのはバルビゼのお蔭といって過言ではない。
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