[COLUMBIA] A.チャイコフスキ(pf) / バッハ:ゴルトベルク変奏曲B.988
商品コード: 1290-011
商品詳細:アンドレ・チャイコフスキというピアニストは、RCAへの録音が多い為、日本では無名。実は仏Columbiaに数点録音があり、これらはどれも第一級の仕上がりで知る人ぞ知る名盤。レーベルで演奏家の評価が変わってしまう見本だ。ステレオも出ているが、モノの方がピアノの音が太く存在感がある。ゴルトベルク変奏曲ファンには注目すべき録音。名人風の中にも現代感覚を取り入れ、爽やかに仕上げている。埋もれた名盤。先入観でのみ判断すると、失うものが大きい。本名はロベルト・アンジェイ・クラウトハメル。1935年ポーランド生まれのユダヤ系。1948年にはパリに留学し、ラザール・レヴィに師事。1955年第5回ショパンコンクールで8位入賞、1956年にはベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクールで3位に入賞などの実績を残し、米国RCAと契約。芸名アンドレ(アンジェイ)・チャイコフスキとして活動を開始。チャイコフスキという苗字は、ユダヤ人であることを隠して潜伏していた時に偽造した身分証明書の苗字であるらしい。1957年にラヴェル/プロコフィエフのモノラル録音でLPデビューした。1960年以降は仏COLUMBIAに移籍し録音を残す。1961年11月には日本を訪れている。1982年6月26日、オックスフォードで死去。享年46歳の若さだった。実は既にゴルトベルク変奏曲を1957年12月13、17、23日に3日間にわたってRCAビクタースタジオで録音していた。しかし本人が発売を拒否している。そして1964年フランスのパテ社スタジオで再録音を行った物が当盤である。録音中に犬がスイングドアからスタジオにやって来て、ピアノに近づき、ピアノの脚に足をぶつけて…それから来た道を去った。とマネージャーに話している。しかしその犬は静かだったのでそのまま編集に回ったという。マネージャーは気を散らしたかどうか尋ねると、チャイコフスキはこう答えた。プロとして批評家を無視することを学ぶ!この録音の後にチャイコフスキはインタビューを受けていて犬の話以外にも様々なことを語っていて、そこには彼の音楽観も出てきて面白い内容であった。今日、日本でアンドレ・チャイコフスキというピアニストを取り上げる音楽関係者は皆無のようであるが、グールドと同等の濃い人生を送ったピアニストであった事実を忘れないようにしたい。バッハは1958年2月14日にRCAスタジオで協奏曲B.1056をF.ライナー指揮シカゴso.と録音していた。しかしこの録音もチャイコフスキはリリースを拒絶した。ライナーと意見の相違があったらしく、ライナーはバッハではイライラしたようだ。モーツァルト、ピアノ協奏曲第25番とカップリング予定だったテイク。頑固者だったようだ。全く惜しい録音を2つも没にしてしまった。ステレオは特に希少!
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