商品コード:1303-044[DECCA] B.ニール指揮ボイド・ニールo. T.ダート(cemb) / ヘンデル:管弦楽組曲「水上の音楽」(18曲)
商品コード: 1303-044
商品詳細:ボイド・ニールの「水上の音楽」は昔からこの曲の原点のように思われてきた録音であるが、調べてみるとなんと当社ではあまり入荷がなかった。ジャケットには全曲録音とあるが、様々な版が存在する「水上の音楽」で何をもって全曲録音とするかは疑問を呈する問題である。これは「水上の音楽」を現在の20曲に定めたフリードリヒ・クリュザンダー版の通りではないらしい。ある方の調べでは曲順などがクリュザンダー版ではないし、曲も20ではなく18曲であることから、クリュザンダー版の変形らしい。ビーチャムの「ペール・ギュント」のような独自版というのが本当のようである。有名な割りにプレスが多くなかったようだ。これがDECCAで最初の「水上の音楽」とうことは間違いのない事実である。ボイド・ニール指揮のザ・ボイド・ニール・オーケストラによる演奏は今となっては伝説的ですらある。尚ある方がこの録音を版の関係から調べて纏められていたので紹介する。---「水上の音楽」を現在の20曲に定めたフリードリヒ・クリュザンダー校訂のドイツ・ヘンデル協会のヘンデル全集第47巻(「クリュザンダー版」)が出版されたのが1886年、その20曲を楽器編成と調性によって3つの組曲に整理分類したハンス・フェルディナント・レートリヒ校訂のハレ版ヘンデル全集第6部門第13巻(「ハレ版」)が出版されたのが1963年のことです。この盤の録音は1954年で「ハレ版」が出る9年も前ですし、CD上のトラック数も18とそこそこ多い(たとえば長調のメヌエットと短調のメヌエットでセットにして一曲とカウントすることもあり、トラック数が必ず20になるとは限らない)ので、私はこの「水上の音楽」はてっきりクリュザンダー版全曲そのままの演奏であろうと高を括っていたのです。ところがいざ聴いてみると曲の順番があちこちで入れ違っているようです。あわててクリュザンダー版のスコアと首っ引きで聞き直し、クリュザンダー版の曲番号を演奏順に並べてみると、次のようになりました。なお (x1/x2/x1) はx1番の曲とx2番の曲(両方ともメヌエット)を組み合わせてメヌエット-トリオ-メヌエットとして演奏していることを示します。1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 7 - 8 - 6 - 9 - 10 - 12 - 13 - 14 - (19/18/19) - (16/17/16) - 20 - 15 - 11---クリュザンダー版のスコアを見ながら聴いていると、上のように曲順の単純な入れ替えにとどまらずメヌエット2曲を組み合わせたりしているし、さらに細かく見ると、トリオ部分の最後のダ・カーポ(曲の頭に戻る)が省略されたり、付点音符のリズムが鋭く変形されていたり、本来は他の楽器で演奏すべき旋律をチェンバロの右手に割り当てたりと、譜面の随所に大胆にして細心な手入れがなされていることがわかります。どうやらこれらの振る舞いには、古楽の演奏習慣に関して相当な知識と見識を持った人物が絡んでいるに違いない・・・!---ボイド・ニール管弦楽団 Boyd Neel Orchestra は、医師の仕事の傍ら趣味でアマチュアオーケストラを指揮するなど音楽活動をしていたボイド・ニール Boyd Neel (1905年ロンドン生まれ)が、1932年に若手のプロ奏者を集めて結成したボイド・ニール弦楽合奏団 Boyd Neel London String Orchestra が母体で、1934年に DECCA が彼とオーケストラに契約を申し入れたことから、ニールは医学の道を諦めてプロの指揮者になったとのこと。ボイド・ニール管弦楽団は1936年に作曲者監修の下でヴォーン・ウィリアムスの「タリスの主題による幻想曲」を録音し、またブリテンの作品を手掛けるなど自国の作曲家の作品を演奏・録音すると同時に、早くからバロック音楽も手掛け、1936年から1938年にかけてヘンデルの作品6を録音しています--- 以上、その方の見立てを紹介。
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