商品コード:1314-057[PHILIPS] A.グリュミオー(vn) C.アラウ(pf) / ベートーヴェン:Vnソナタ集-3/2, 4番
商品コード: 1314-057
商品詳細:グリュミオーもベートーヴェンのソナタをアラウと組んで入れ直している。ハスキルとの演奏があまりに強烈でしばらくの間は聴いてみる気にもならなかったが、いかなる名人といえども歳月の経過と共に変わり行く。どう変わっていくかが問題で、そこでその演奏家の価値が決まると言ってもいい。40代のグリュミオーの演奏は、あの溌剌とした若鮎が、湖の主のように貫禄と味わいを身に付けて、まだ力強く泳ぐ様を見せてくれるのが嬉しい。勿論これがオリジナル、殆ど見ないレア盤。3枚で全て1・2・4・5・7・8番の6曲が全録音で全曲録音ではなかった。3・6・9・10番の4曲は未録音である。大作9番「クロイツェル」を録音しなかったことに意味がありそうである。グリュミオーも57歳となり、スタイルも落ち着いて穏やかな方向に僅かに変化した。最も大きな違いはピアノのアラウの存在である。全体が軽やかでグリュミオーのデリケートとな表情は以前と変わらないが、やや線が細くなったのは録音の違いだろうか? 先入観ではアラウのピアノが重く、全体が鈍重になるかと思いきや、硬質の響きで対応し、実際は全く逆で軽快になっている。アラウはサポートに回るというより個性的な表現を出し、決っして引っ込んではいない点が面白い。ハスキルとの旧録音より、個人の妙技が強調された印象で変わったタイプのVnソナタ集と言えそうである。アラウの室内楽の録音は非常に少ないので面白い。ソロ録音とはかなり異なる演奏をしている。しかし年はとってもきびきびと動くグリュミオーに対し、リズム感で弱いアラウが時に噛み合い、時に個人芸となる様相になる。アラウは室内楽の経験が浅いためかかなりマイペースである。グリュミオー/アラウというなかなかない共演がこの録音の面白味といえるだろう。すんなり曲を愉しむならグリュミオー/ハスキルの方が良いことは確か。不確定の面白さに浸るならグリュミオー/アラウという事になる。
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