商品コード:1321-059[RCA] H.シェリング(vn) A.ルービンシュタイン(pf) / Vnソナタ/ベートーヴェン:8番, ブラームス:1番
商品コード: 1321-059
商品詳細:シェリングとルービンシュタインの共演は単純に2人がRCAにいたからではない。1959年までヘンリク・シェリング(1918- 1988)はRCAに籍がなかった。そのきっかけとなったは1954年、ルービンシュタインはメキシコを演奏旅行するが、そのときメキシコに帰化して活動していたシェリングと出会った。シェリングを世界の檜舞台に引っ張り出したのはルービンシュタインであったのである。シェリングはSP期から録音があるヴァイオリニストだが当初はフランスODEONに籍があり、1957年までODEONに録音を残している。シェリングは第二次世界大戦中は、ポーランド亡命政府のために通訳を務めるかたわら、連合国軍のために慰問演奏を行う。メキシコシティにおける慰問演奏の合間に、同地の大学に職を得、1946年にはメキシコ市民権を得た。その後は教育活動に専念した。ODEONへの録音はそのような時期だった。ODEONへの録音は1957年で終了している。1957年にルービンシュタインはアメリカにシェリングを紹介し、RCAに2人で一連の録音を行った。その中の代表的録音がベートーヴエンとブラームスのソナタ集である。録音時、シェリングは42歳だったが、米国ではまだ新鋭、ルービンシュタインは73歳に手が届く巨匠であった。そんな二人の共演が実現したのは、なんとしてもシェリングを世間に紹介しようとする強い意志がルービンシュタインにあったからに他ならない。同じポーランド出身の才能に富む後輩にルービンシュタインが手を差し伸べた形となった。米国へデビューしたシェリングは1959年モントゥーとブラームスの協奏曲を録音して大好評を得た。そして1960-61年にかけて2人の共演が始まったのである。ここではポーランドの先輩であり、紹介者であるルービンシュタイン主導の演奏が繰り広げられる。ややかしこまったシェリングに対し、巨匠ルービンシュタインのピアノが対照的に大らかで独特の効果を上げている。伴奏というより先導といった方が正しい、ルービンシュタインの積極的なピアノで当時の共演が完成を見ている。19世紀的なサロンの空気を色濃く残すルービンシュタインに導かれように端正で律儀なヴァイオリンというデュオは米国で支持され、ベートーヴエンの5・8・9番の3曲、ブラームスの全3曲のソナタを録音した。シェリングは1962年Mercuryに移籍し、トップスターの座を駆け上がることになる。恩人であるルービンシュタインの共演をそんなストーリーを知った上で聴けば、また思うところがあるだろう。
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