商品コード:1321-031[ARION] J.J.カントロフ(vn)/ サン・ジョルジュ:Vn協奏曲-1
商品コード: 1321-031
商品詳細:J.J.カントロフによる、フランス古典のコンチェルト2曲である。カントロフはパリ音楽院でR.ベネデッティに師事した名手で、コンクール時にG.グールドに絶賛される等フランスでは大変珍しい超技巧派である。当盤はアルメニア系フランス人である彼ならではの選曲で、18世紀にパリで活躍した「黒人のモーツァルト」とも言われた、伝説の作曲家による協奏曲である。普段聴く機会の少ない作品ではあるが、実にポリフォニックな構成を見せ、18世紀にタイムスリップしたような特殊な空気感である。作曲家サン=ジョルジュ(1745-1799)は正式名をジョゼフ・ブローニュ・シュヴァリエ・ド・サン=ジョルジュといい、フランス領のグアドループ島で、プランテーションを営む地主とウォロフ族出身の奴隷の女性との間に生まれた。"ド・サン=ジョルジュ"という姓は、父が貴族の家柄ではないにもかかわらず勝手に名乗ったものである。8歳のときに父によりフランスで育てられ、ジャン=マリー・ルクレールにヴァイオリンを、フランソワ=ジョセフ・ゴセックに作曲を教わって頭角を現し、コンサートマスターや指揮者として活躍。その他にもダンスやフェンシング、乗馬でも名を馳せた。1787年にはロンドンでシュヴァリエ・デオンとフェンシングの試合をし、激闘の末敗れている。肌の色が黒かった事から「黒いモーツァルト」の異名を持つ作曲家。1769年にはゴセックのオーケストラのメンバーになり、主任奏者になった。芝居好きのモンテッソン侯爵夫人とルイ・フィリップ1世 (オルレアン公)の劇場のためにも作曲や指揮をした。その後、当時100人近い団員を抱える大オーケストラ、コンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピック(フランス語版)のコンサートマスターにも選任された。フランツ・ヨーゼフ・ハイドンのパリ交響曲は、同楽団のために作曲されたものである。ルイ16世のヴェルサイユ王室楽団のディレクターにも指名されたが、ムラート(黒人との混血)と一緒に舞台に立ちたくないという歌手たちの反対にあい、断念させられた。サン=ジョルジュの作風は古典派の影響が大きく、オペラ、交響曲、弦楽四重奏曲などの作品を残した。彼の作品は、近年になってヴァイオリン協奏曲や弦楽四重奏曲などが録音などで取り上げられるようになっている。キューバではシュヴァリエ・ド・サン=ジョルジュの評価が高く、毎年「カリブの偉大な英雄」である彼を記念する文化週間が開かれている。2008年にはドキュメンタリー『キューバの黒いモーツァルト (The Black Mozart in Cuba)』が公開された。ヴァイオリン奏者のジャン・ジャック・カントロフは早い時期にサン・ジョルジュ:Vn協奏曲を録音している。世界初録音であるか不明だが、そのくらい当時は貴重な録音であった。カントロフはその後Vnソナタ集も録音している。Vn協奏曲はこの2曲の他ハ長調Op.5-1、ニ長調Op.3-1が入るARN 36346も出ている。4曲ですべて。Vn協奏曲は20曲以上存在すると思われる。モーツァルトより11年早く生まれたサン=ジョルジュの音楽はよりハイドンに近いかもしれない。ハイドン( 1732- 1809)と同時代のVn協奏曲と考えて良い。生い立ちからも想像されるように決して明るい作品ではないが、個性的なVn協奏曲として歴史に足跡を残している。
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