商品コード:1322-044n[MELODIYA] B.ベフテレフ(pf) / シューベルト:Pfソナタ9番, プロコフィエフ:思考 他
商品コード: 1322-044n
商品詳細:ボリス・ベフテレフ(1942-)は今まで一度も入荷の無かった初めて聴く名前の男性ピアニスト。佐藤氏の「ロシア・ピアニズム」には僅かに解説があった。直接の師はグネーシン音楽学校のE.フェドルチェンコらしい。その後モスクワ音楽院でヤコフ・ミリシュタイン(1912-)に師事している。ミリシュタインはイグムノフの最初の世代の弟子であるのでイグムノフ一派の孫弟子となる。ミリシュタインには3人の弟子が居てV.サガロフとレオンスカヤである。ボリス・ベフテレフはこの2人と同門である。レオンスカは西側で有名になったがベフテレフとサガロフは西側には出なかった。佐藤氏は「ロシア・ピアニズム」の中でベフテレフをクレショフの項目でチェリカソフ、ヴィアルド、バーク、ルジャノフらと並ぶ凄腕ピアニストであると書いている。ベフテレフについては多くの情報は書かれていない。ヤコフ・ミリシュタインには録音がなく知ることは出来ないが、近い同門にダヴィドヴィチがいる。ベフテレフは5枚のLPを出しているがうち4枚は室内楽等の伴奏でソロ録音はこの1枚だけという状況であることが分かった。貴重なLPである。聴いた印象では鋭い打鍵を繰り出す瞬発力のあるタイプ。シューベルトでは大きな音は出さないが、効果的に時折、ボクサーのジャブのように披露する。その瞬間にロシアン・スクール生だとすぐに解かる。そのジャブを聴きたくて最後まで聴いてしまう。B面のプロコフィエフでは全体に不穏な雰囲気を漂わせ、それらしい場を作るのが上手いピアニスト。ジャブが連続パンチのようになリ、俄然盛上る。プロコフィエフを弾かせたらピカ一だろう。プロコフィエフは3曲とも今まで殆ど録音がない珍しい単独曲で、最後は劇音楽「エフゲニー・オネーギン」からのパラフレーズとしている。プロコフィエフのソナタには興味のない方にもこれら単独小品は静かで不気味なプロコフィエフらしい魅力ある曲であり、演奏である。ロシアン・スクールの手にかかると、難解だけのイメージで知られるプロコフィエフの多面性や奥深さを知る機会となる。ベフテレフはその後、モスクワ音楽院で14年間教鞭を執る。また時期は不明だが恐らく1980年代以降、カーネギーホール、スカラ座、ウィーン・コンツェルトハウス、クイーン・エリザベス・ホール、東京文化会館などでコンサートを開催。神戸女学院大学と武庫川大学で15年間ピアノ教授を務めた後、現在はイタリアに住み、教育
と芸術の道を歩み続けているらしい。2015年にはスクリャービンのピアノ独奏曲全曲の録音を完了したという。国外に出てそのスキルを役立てている鬼才の一人。我々はほんの一部の事しか知らない。
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