商品コード:1334-063[PRETORIA] I.ビレット(pf) / シューマン:幻想小曲集(全8曲), ブラームス:3つの間奏曲(全3曲)
商品コード: 1334-063
商品詳細:女性ピアニスト、イディル・ビレット(1941-)はトルコ・アンカラ生まれのトルコ人。フランス人ではないのでビレットと発音する。トルコ議会の特別法のお陰で幼くしてパリに留学し、パリ音楽院に入学。ミトハト・フェンメンに5歳で入門してピアノを始める。ナディア・ブーランジェらの指導を受ける一方、マドレーヌ・ド・ヴァルマレットにも学ぶ。15歳のとき3つの部門で受賞して卒業すると、コルトーやヴィルヘルム・ケンプに師事してさらに研鑚を積んだ。1950年代よりVÉGAと契約、モノラル期から録音を開始、2000年代に入るとCDレーベルのナクソスに盛んに録音をしている。ビレットのレパートリーはかなり幅広く、バッハから現代音楽にまで跨っている。これはほとんどデビューに近い録音と思われる。まだ20歳前後である。VÉGAのモノラル期に録音を許された類稀な才能が詰まった録音。ジャケット裏の写真も若い。トルコ人ピアニストといえば米国生まれのR.テュレックを思い出す。トルコのような欧州とアジアの境の辺境にも才能はひょっこり出現する。その才能を育て完成させるメソッドを最初に打ち立てたのがパリ音楽院だろう。A.コルトー、N.ブーランジェ、M.ロンは自身の演奏だけでなく後進を育て自身のピアニズムを繋げている。この録音はまだ若いビレットの感性と技術だけで作られた印象だが聴こえてくる一音一音は訓練だけで出せるものではないだろう。まさかPRETORIAのようなレーベルに録音があろうとは意外だった。VEGAより古い可能性も出てきた。曲はVEGAの最初の録音もそうだったブラームスがB面でA面はシューマン。ブラームスは得意らしい。シュ―マンの幻想小曲集は8曲からなり、それぞれに標題が付けられている。このLPはこのシューマンが抜群に良い。ブラームスでは技巧を拠り所に組み立てており、ビレットの情感はいまひとつだがシューマンの方は見事に音と微妙なタッチで教育者レベルの完成度に達している様に感じる。このシューマンは唸らずにはいられない。まさにフレンチピアニズムの若き正当な継承者。これがビレットのデビューLPとなった。PRETORIAには1枚録音しただけでVÉGAに移籍し、数枚を録音、以降仏Deccaに1枚、Finnadar Recordsに9枚程度、また1980年代に入りEMIと専属契約を結び、国際舞台で大活躍する。CD期になっても衰えを見せず、Naxosの専属として大量のCDを発売した。2021年まで録音を確認している。
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