商品詳細：「War Requiem=戦争レクイエム」、この目を引く標題は作曲家自身による。1958年、ブリテンは、戦時中にナチスドイツの空襲により、壊滅的な被害を受けた英国のコヴェントリー大聖堂再建の献堂式のための楽曲を委嘱された。生まれながらにして繊細な気質を持ち、生涯徹底した反戦・平和主義を貫いたブリテンにとって、この作曲はいかに大きな意味を持っていたことだろう。その意思の固さは、彼が構想した以下3点の対照・対比の配置に確信される。①従来のレクイエムの伝統である6つの典礼と、祖国の詩人オーウェンの反戦詩の融合②天上と、現実を明確に分けた音響構成③初演時に英独露の3ヶ国の歌手を招聘する想定であった。このように渾身の祈りをもって叶えられた1962年の初演は、第1回レコード大賞に輝くなど大きな反響とともに世に迎えられた。以来この録音が揺るがぬスタンダードとして牛耳を執り続けることになるのだが、それから20年後の'83年、若干20代のラトルが、颯爽と現れその重い扉を開き、就任間もないバーミンガム市so.と共にこの曲に挑んだということ、これもまた、演奏史に新たな光を注ぐ出来事だったといえるだろう。(KT)

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