商品コード:1342-021[DECCA] G.ショルティ指揮/ ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」(全曲)
商品コード: 1342-021
商品詳細:ショルティは1950年代当時、SXL 2000番台のデモンストレーションのような録音に付き合わされており、ここで遂に本当に自分のやりたいことができた、そんな彼の喜びさえも感じられる。天を駆け昇る如きエネルギーが伝わる。よく知られているが、大作「ニーベルングの指輪」は元々クナッパーツブッシュ( 1888 - 1965)で録音される予定であった。初のステレオによる全曲録音を任されたDECCAのプロデューサー、ジョン・カルショウはこの時若干34歳、クナッパーツブッシュは天にそびえる大指揮者。カルショウの思い通りになるような相手ではなかった。当時はプロデューサーより大物指揮者は格段に地位が上である。録り直しなどもっての外で、とてもクナッパーツブッシュで「ニーベルングの指輪」全曲を録音するのは不可能であった。クナッパーツブッシュ自身、既に高齢であり1957年時点で70歳。最後まで指揮が出来る保証もなかった。クナッパーツブッシュの性格は粗野で、不愉快な激しい性格も知られており恐れられていた。マエストロの怒りは発火しやすく、かなり直截な言葉の脱線も珍しくなかった。著名なソプラノ歌手、ビルギット・ニルソンが報告したように、歌手はしばしば演奏中でさえもミスのために彼から大声で下品な言葉を浴びせられたという。 オーストリアのジャーナリスト、アンドレアス・ノヴァークはクナッパーツブッシュを「不機嫌そうな人道主義者」と呼び、非常に適切に特徴付けている。この事態を打破すべくカルショウは、当時まだ有名でもなく、強い発言権を持たないが誠実であり、粘り強い努力家である指揮者ゲオルク・ショルティ(1912- 1997)を起用した。1957年時点で彼は45歳前後。カルショウは経営陣を説得し、長丁場となる「ニーベルングの指輪」をショルティに託した。カルショウはテスト録音として1957年5月「ワルキューレ」の第3幕を録音。この録音の出来で「指輪」の担当が変わる可能性さえ秘めた重要な録音だったが、ショルティは予想以上の仕上がりで期待に応え、「指輪」の担当を手にしたのであった。1958年録音の「ラインの黄金」は本編のスタートとなった。御大クナッパーツブッシュと比べてしまえば貫禄という点でまだまだな印象は残るが、当時、このレベルで「指輪」が発売出来れば文句は無かったと思われる。1958年~1965年までを費やして録音史上燦然と輝く偉業である初のステレオによる「ニーベルングの指輪」が完成した。ショルティは世界的大指揮者の仲間入りを果たし、クナッパーツブッシュの仕事は激減した。録音史上に残る初の一人指揮者・同一オケによるステレオ全曲録音となった。録音は「ラインの黄金」1958年9月/10月、「ジークフリート」1962年5月/10月/11月、「ワルキューレ」1964年5月/6月/10月/11月、「神々の黄昏」1965年10月/11月の順番で行われた。初期録音ほど音質が良いのは言うまでもない。記載はないが全曲、録音技師:Gordon Parry 、プロデューサー:John Culshawのコンビで行われた。その為、長期に渡る録音となったが比較的音質は安定している。
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