商品コード:1343-006[DECCA] K.ミュンヒンガー指揮/ モーツァルト:レ・プティ・リアン
商品コード: 1343-006
商品詳細:バッハの権化のようなミュンヒンガーが、このような優雅な曲を1956年当時録音していたとは少々意外である。個性的ではあるがミュンヒンガーの音楽的才能は、相当に高かったようである。但し1950年代初頭オーケストラのトレンドを考えると、最初のブランデンブルクや四季は当時としては先端を行っていた。さてバレエ音楽 「レ・プティ・リアン」、モーツァルトの残した最高のバレエ曲、既に当時からAnh.が付くように、全曲モーツァルト作でない事は知られている。序曲と13曲からなる管弦楽作品で1778年パリで作曲された。この年はモーツァルトにとっては最低にひどい年であった。パリ滞在中に最愛の母を失い、職もなく父と姉が残るザルツブルクに戻るしか道がなくなったからである。 そんな折、パリ・オペラ座のジャン・ノヴェールからバレエ音楽の依頼があった。このバレエ音楽は1767年にウィーンでアスプルマイヤーの作曲で初演されていたが、ジャン・ノヴェールがパリで再演するにあたってモーツァルトに新たに作曲を依頼したのである。 6曲は他の作曲家によって書かれたもので、モーツァルトは序曲とコントルダンス全12曲を追加で作曲したと父宛の書簡に書いている。今日パリのオペラ座に残っている筆写譜には20曲あり、どれがモーツァルト作であるか未だに定説はない。ベーレンライターの新全集では序曲・第9曲~第12曲、第15曲、第16曲、第18曲の8曲をモーツァルト作としている。またケッヒェル6版では序曲、第7曲~第19曲までを真作としている。結局ジャン・ノヴェールは代金を踏み倒したらしい。未だはっきりした結論の出ていないモーツァルトのバレエ音楽 「レ・プティ・リアン」。全部ではないが主要分を作曲したモーツァルト作品として良いと思われる。但し楽譜上では偽作を意味するK.299b (Anh.10)となっている。余談だがジャン・ノヴェールの娘でピアニストのジュナミ夫人ヴィクトワールのためにモーツァルトはピアノ協奏曲を書いている。それが通称「ジュノーム」で知られていた曲(K.271)である。K.ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内o.の元気の良い素早い反応は、この曲のイメージを損なうものではない。よく弾むオケが青年モーツァルトそのもの。
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