商品コード:1344-002[PHILIPS] A.グリュミオー(vn)/ バッハ:Vn協奏曲1, 2番B.1041, 1042
商品コード: 1344-002
商品詳細:グリュミオーはこの曲を何度も録音しているが、'50年代中頃の当録音が最初のバッハ協奏曲。グリュミオーは好みが分かれ、好きな人には堪らないようだが、一方でバッハには少し軽いという声も。しかしこれを聴く限り、そのような印象はない。彼の真摯な姿勢が充分に発揮された演奏である。音色の明るさはバッハに対して決して不利に働くわけではない。音楽に対する深さが問題なのだ。この時期にあってインテンポの良い演奏。当盤がオリジナル。これはグリュミオーが3回録音したバッハ:Vn協奏曲集の1955年6月の初回録音モノラル録音。グリュミオーはまだ30歳代半ばでこれからという時期であった。生気あふれるものの、あまり歌わず抑え気味の演奏である。レオン・グラー(1890-1972)はマルセイユ出身のフランス人で、ベルギーとフランスで活動した指揮者。1972年にブリュッセルで亡くなった時、82歳だったという。元々はブリュッセル音楽院でセザール・トムソンに学んだヴァイオリニストで、1921年から自分で合奏団を組織して18世紀以前の作品の発掘や演奏に力を注いでいたという。フランス6人組のメンバーたちとも交流があったといわれるが、録音には恵まれていなかったらしく、今日グラーの名前はこの録音でしか見ることができず、ほぼ忘れられた指揮者。当録音はベルギーの可能性が高い。アルテュール・グリュミオー( 1921- 1986)とレオン・グラーの年齢差は31年もあり、親子以上に年の離れた共演であった。この録音は地味に感じる一面があるが、古参指揮者であるレオン・グラーの落ち着いた見識がリードしている節がある。グリュミオーは当時まだ若手であり、31歳年長の指揮者に対して敬意をもって望んだ節が窺える。晩年のように歌い過ぎることもなく、34歳という年齢にしては落ち着いた遊びのないソロを展開している。グリュミオーが華やいだ独自の演奏を始めるのは数年後からである。ハスキルとの共演と比べると随分抑えた折り目正しい演奏に徹している。これはグリュミオーらしさが全開する以前の珍しい時代の記録であり、シェリングのODEON時代のようにある程度、丁寧に抑えた時代を経て、自身の個性を開く時期を辿るのが普通のヴァイオリン奏者なのだろう。そういう点で多くの方が知るグリュミオーらしさがない古い時期の貴重な録音といえる。
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