商品コード:1348-060[DGG] S.リヒテル(pf)/ シューマン:Pf協奏曲, 序奏とアレグロ・アパッショナート, ノヴェレッテ, トッカータ
商品コード: 1348-060
商品詳細:ピアノの美しさを余す所なく生かした、華麗で透明感のあるシューマンの唯一完成された協奏曲は、ドイツ・ロマン派ピアノ協奏曲を代表する名曲。1958年ワルシャワでのロヴィツキとの共演による2回目。また、あまり演奏される機会に恵まれないピアノ小協奏曲とも呼ばれる「序奏とアレグロ・アパッショナート」は優雅で堂々とした魅力的な作品。こちらは1959年ヴィスロツキとの共演。生命力溢れる詩情豊かな演奏。当時まだリヒテルは西側へ自由に出ることを許されていなかった。1958年10月にリヒテルがドイツのお隣ポーランドのワルシャワで演奏会を開くことを知ったDGGは録音チームを派遣して録音しDGGからリヒテルの初のステレオ録音をリリースすることに成功した。当時の西側レーベルはリヒテルの争奪戦を繰り広げたが、より東側に近い地の利を生かしたDGGに軍配が上がった。米国ではRCAがリヒテルを米国に招聘し一早く契約を行った。DGGはその数年前の1956年11月プラハで行われたシューマンの「森の情景」を既にモノラル録音しており、これが大いに人気が高く売れたらしい。この成功に気を良くしたDGGは何としてもリヒテルを獲得したかったのだろう。1958年2月25日にブルガリアのソフィアで行ったリサイタルの録音は当時どの会社とも契約がなかった中、PHILIPSに先を越された苦いトラウマがあったからだろう。1960年5月にようやく西側での演奏を許可されたリヒテルは、ヘルシンキでのコンサートに「伴奏者」として派遣された。同年中にはアメリカへもツアーをして1960年10月~12月にかけてアメリカの各地でコンサートを行い、センセーショナルな成功を収めた。ワルシャワでのDGGとの録音セッションでエンジニアを務めたハインツ・ヴィルトハーゲンは、この時使用したピアノについての証言を残している。スタッフが現地で調達したピアノはタッチにひどくムラのある粗悪な代物で、スタッフは当然リヒテルに拒否されるものと考えた。しかし彼は黙ってピアノの前に座ると、キーの感触を一つ一つ確かめながら、ムラなく聴こえるようになるまで練習し、難のあるピアノを自在に操ったという。その後彼は1969年にヤマハのピアノに目を留め、愛用するようになった。彼はその理由について「柔軟で感受性が鋭く、特にピアニッシモが非常に美しい。私の表現したい心の感度を歌ってくれる」と語っている。このことはNHKのドキュメンタリー番組『プロジェクトX』(2001年10月2日放送回)でも取り上げられた。ワルシャワではシューマンとラフマニノフ2番、モーツァルト20番も録音され、2枚のLPでDGGからモノラル/ステレオでリリースされ今もってロングセラーを続ける歴史的録音となった。当時ワルシャワにはプアーな音響設備しかなく、録音チームが乗り込んだことは成功だった。かくしてDGGの最も音質の良かった時代に2枚のリヒテル・ステレオLPがリリース出来たことは幸いであった。
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