商品コード:1318-053b[ERATO] Y.ナット(pf)/ イヴ・ナットへのオマージュ/Y.ナット, シューマン, ショパン, インタビュー
商品コード: 1318-053b
商品詳細:A面は1954年パリ・シャンゼリゼ劇場でのコンサートで始まる、自作の協奏曲。ナレーションが流れた後(リアルな声だ)長い拍手が入り、ピエール・デルヴォー指揮のオケが入る。これがまたひどくリアルな音で驚かされる。曲調は現代曲で、ソロもジャズ風の速いパッセージが続く。トライアングルと金管の音がそこで鳴っているようだ。B面は1953年の長いインタビュー(太く低い声)があり、ダニエル・レスールへのインタビューというトラックの最後にシューマンの「トロイメライ」が演奏される。次のトラックがアルマンド・パニゲルへのインタビューでここではショパンのワルツ14番遺作が演奏される。ここでB面の中央、最後の長いトラックはナット作のソナチネ「鳥」が演奏される。A面の協奏曲であまりシンパシーを感じなかった方にはこのピアノソロ作品が面白い。忙しい指使いで始まるこの自作は指回りはそのままにやがて幻想的な曲調になり美しいメロディーと不思議な間を持った方向へ展開してゆく。音が非常に多く雨がメロディーを奏でるような雰囲気である。非常に長いこのソロ作品はナットの音楽観を表している。ベートーヴェンをあれだけ美しく演奏するピアニストの心情がここで見え隠れする。ロマンチックであり、しかも相当に高度な技術の上に成立しているこの不思議な曲には、一人の人間が演奏しているとは思えない多種の要素が見える。このLPで最も重要なトラックであり、この世に一つしかない貴重な録音!イヴ・ナット(1890-1956)の追悼盤!イヴ・ナットはフランス・ベジエ生まれのピアニストで彼の国際的な活動は、1909年にドビュッシーに連れられた渡英に始まる。ヨーロッパやアメリカ各地で演奏旅行を行い、ベートーヴェンやシューマンの演奏で評価された。ヴァイオリニストのジャック・ティボーやジョルジュ・エネスク、ウジェーヌ・イザイらとも頻繁に演奏旅行を行っている。1934年に、母校パリ音楽院での教育と、自らの作曲活動に集中するため、演奏活動を退く。亡くなる1956年まで、パリ音楽院の指導的教師の一人として、ジュヌヴィエーヴ・ジョワやピエール・サンカンらを育てた。一方1950年代にはピアノの演奏活動を再開、1951年から1955年にかけてベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲録音を実現させた。ダニエル・バレンボイムはナットについて「すぐれたピアニストだったと私は思うが、フランス国外ではあまりに過小評価されていた」と述べている。フランスのピアノ楽壇にマルグリット・ロンにも劣らない貢献を残した偉大な音楽家であった。この作曲家としてのイヴ・ナットに注目したLPだが、シューマン:トロイメライ(1955年録音)やショパン:ワルツ14番(1931年録音)等の当LP独自の録音も聴ける盤!最後の自作のソナチネ「鳥」を弾いているのはイヴ・ナットではなくエリーズ・イヴ・ナットで彼の奥さんではないかと思われる。
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