商品詳細：バルトークの「15のハンガリーの農民の歌」はピアノのための作品である。全15曲からなる。完全にオリジナルの作品ではなく、バルトークが1909年～1918年に収集した民謡の性質を生かしつつピアノ伴奏を付加した、いわば一種の編曲作品である。リヒテルのソロでA面の2/3を使う。リヒテルには初めての録音と思われる。A面後半にVnソナタ1番の第1楽章、B面に第2/3楽章が入る。1972年場所はモスクワ音楽院の大ホールで少々咳払いも入るライヴ録音。「15のハンガリーの農民の歌」は静かな曲でリヒテルの淡々としたソロピアノは深い響きでホールを包み込む。コンサートの入りとしては効果的な音がまず聴衆の五感をくすぐる。その日はバルトークのプログラムだったようだ。オイストラフは20分程度舞台奥で休んでいるのだろう。続いて二人のデュオによるバルトーク、Vnソナタ1番。決してメジャーなわかりやすい作品ではないが、この日はテンポを落とし、半ば解説するかのように丁寧な音を出すオイストラフ。決してポピュラーではないこの曲に聴衆は心を奪われているらしい。もの音一つ、咳一つ聴こえない。凄い集中力で大勢の心をがっちり掴んでしまったことが聴いていて感じ取れる。正直楽しい作品ではない。下手をすれば退屈な曲にもなりかねない。およそコンサートには向かない長丁場のソナタであるがこれは手に汗握るような時間が流れる。あまりいないだろう「バルトーク好き」でなくとも満足感を持って聴き終えることが出来るコンサート疑似体験ができる。録音し過ぎでなんとも思わなくなったオイストラフ/リヒテルだがコンサートでもし聴いたなら口が裂けてもそんなセリフは吐けない。

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