商品詳細：フランスのマイナーレーベルであるアリエノール、そしてラマンディエの名は長岡鉄男氏が推薦しなければ世に出ることはなかっただろう。1983年の発売だが音質はなかなかのもの。この年のシャルル・クロ・グランプリディスクを受賞しているのも頷ける。録音会場はパリのノートルダム・デュ・リバン教会。1960年代から仏ERATOレーベルの録音でも使われてきた教会で、マイナーレーベルにも貸し出しているところを見ると懐の深い運営方針なのだろう。題材としている「バラ物語(薔薇物語)」は13世紀フランスで大流行した恋愛に関する寓話集である。騎士道精神と宮廷風恋愛について当時の時代性が描かれるが、乱暴に言えば政略結婚させられた妙齢の婦人が若く精悍な騎士に思いを寄せる不倫についての話題と、世にはびこる悪を女性で形容するという、なかなか香ばしい内容である。元を辿ればアーサー王伝説のランスロットとグィネヴィアやトリスタンとイゾルデなど騎士道譚には不思議と不倫的な関係が付きものだったが、バラ物語によって世に定着し、後世には女性という性についての解釈でバラ物語論争なるものにまで発展している。この時代の歌曲を現代に蘇らせた作品集らしく、ジャケット裏にはネウマ式の記譜法で書かれた楽譜が掲載されている。生々しくストレートに収録されたラマンディエの声と共に、中世フランスの情景が眼前に現れる。隠れた推薦盤!

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