商品コード:1329-038p[HMV] O.クレンペラー指揮/ ブルックナー:交響曲9番(ノヴァーク版)
商品コード: 1329-038p
商品詳細:ASDの3ケタは人気が高いので、ほとんど知られているが、4ケタになると日本への入荷そのものが少ない。この録音も1972年という引退の年。存在すら知られていないクレンペラーの一枚。SCレーベルと同等のオーディオファイルであるがプレスが少なかったようだ。'60年代のような極端に遅いテンポを取らず、すっきりとした感じ。しかし、特有のダイナミズムは健在で、オケを限界まで鳴らし切る力はさすがだ。クレンペラー好きには見逃せない一枚。翌'73年7月没。クレンペラーの晩年録音!クレンペラーのブルックナー「第9番」は1970年の録音で当時85歳という高齢で体調も芳しくなったらしい。ブルックナーは既に4番~8番までの5曲を録音しており、この9番が最後となった。本人も最後に9番を絶対に録音するぞという気持ちがあったと思われる。演奏は案の定かなり遅いテンポを取っている。しかし、さほど重厚な印象はない。重さが目的の演奏ではないことが明らかである。1970年という時期でこのようなスケール感のある演奏ができるとは流石である。情感は強くないが雄大である。ブルックナーが描きたかった、幽玄の世界感が見事に表現されている。幻想的とさえいえるようなこの世とあの世の間のような感覚が音で伝わる。映像が得意とする分野を音楽だけで表現した指揮者は多くないだろう。1950-60年代にはもっとダイナミックで重厚な録音はある。しかしクレンペラーの9番にはどこかのめり込んでいない冷静さが根底にある。感情移入型ではないスタイルでここまで聴かせる演奏をしたところが評価できる。クレンペラーはこの録音の翌年1971年に引退し1973年7月6日に亡くなった。このLPは録音してすぐに発売されず、2年以上後の1972年に出た。引退後の発売である。あるいは引退を記念しての発売だったのかも知れない。
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