商品コード:1333-009[Harmonia Mundi] S.クイケン(vn) / バッハ:無伴奏Vnソナタ, パルティータ(全6曲)
商品コード: 1333-009
商品詳細:ありそうで最近ではなかなか入荷しなくなったクイケンの無伴奏。1700年代イタリア製Giovanni Grancinoという楽器を使って'81年に録音された。初の古楽器による録音、'73年頃ルカのノンサッチ盤から数えると、クイケンの演奏で1つの完成の域に達したと見て間違いない。この録音がなぜ傑作と呼ばれるかは、一つのスタイルの完結に他ならない。この後録音された同様のスタイルのものが色褪せて見える程の完成度。仏オリジナル。バロック・ヴァイオリニスト、シギスヴァルト・クイケン(1944-)はベルギーのブリュッセル近郊に生まれ、有名なクイケン兄弟の次男として生まれた。長男はヴィーラント・クイケン(1938-)でチェロ奏者、三男の末弟バルトルド・クイケン(1949-)はフルート奏者として、それぞれ活躍する音楽一家である。ラ・プティット・バンドのメンバーでもある シギスヴァルトが1981年に完全なバロック時代の古楽器を使って完全なピリオド奏法によるバッハ:無伴奏Vnソナタとパルティータ全6曲をイタリアのメディチ家の邸宅で録音したのが当箱である。楽器はバロック・ヴァイオリン:ジョヴァンニ・グランチーノ、1700年頃ミラノ製。この録音はバロックヴァイオリンによる初の全曲盤であった。ビブラートのない何とも骨格のみというような演奏なので、説明が無くとも誰が聴いてもこれまでのモダン奏法とは全く違う音楽であることがわかる。一言で言うなら全く飾りをそぎ落としたシンプルな演奏であり、素という言葉がピッタリくる演奏である。今日、ピリオド奏法が当たり前のようになったが、アーノンクールの無伴奏チェロ組曲と同様にこの録音が潮流のきっかけとなったことは事実だろう。弓にもこだわり、18世紀の物をコピーした物を使用しているらしい。ピリオド楽器かモダン楽器かは好みの問題であるが、ピリオド楽器演奏ではこの録音がスタンダードとしてこれからも語られることは間違いないだろう。バロックのヴァイオリンにモダンの弓を使ったり、モダンのヴァイオリンにバロックの弦を張ったりした折衷的な演奏は過去にもあったが、完全な形での録音はこれが初なのである。これだけシンプルな演奏だと、お刺身のように素材が明らかに丸裸にされてしまう。余程腕に自信がないとできないスタイルと言える。シギスヴァルト・クイケンはまず音が非常に綺麗である。帯域によるムラがなく、テヌート(伸ばす音)では自然な揺らぎを補正せず楽器に任せて出す。その為こういう所で機械ではなく人間が弾いた情感が感じられる。シンプルだが味わいも感じられる優れた演奏といえる。完全なピリオド演奏として永遠の価値を持つ録音と信じる。尚ドイツ盤はDMM処理されたマスターでプレスされたのに対しフランス盤はDMM処理されていないようである。
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