商品コード:1342-031pb[Chant du Monde] セトラック・ヤブルヤン(pf) / ビゼー:Pf独奏曲全集
商品コード: 1342-031pb
商品詳細:ピアニスト、セトラック・ヤブルヤン(1930-2006)はトルコ・イスタンブールで生まれのアルメニア人。最初本名で1958年に仏マイナー・レーベルPICTUREに録音した「展覧会の絵」で鮮烈なデビューを果たし、1967年フランスに帰化、名前もSETRAKに改名した。デビューLPの「展覧会の絵」は知る人ぞ知る「展覧会の絵」の傑作録音。その後17年間録音が無く、1970年代中期になって再び活動を開始したピニスト。再始動時に改名し、セトラックだけで表記するようになった。アルメニア系であることを意識させないイメージ戦略だろう。1975年にLa Voix De Son Maître、1980年頃からSOLSTICE、Le Chant du Mondeなどに録音を再開した。セトラックはパリでコルトー、ロンに師事した正統派で、リストの伝統を受け継ぐ技巧派のピアニストだ。彼のクリスタルな硬質で透明度の高い音をシャン・デュ・モンドもよく捉えていて、このビゼーのピアノ曲という珍しい作品をお宝にできると信じる。デビュー当時の技巧は健在で、ショパン、カバレフスキー、ブゾーニ、リストなど様々なレパートリーを披露した。当時の「展覧会の絵」を思い出させるロシアンスクールを彷彿とさせる切れのよいタッチが聴ける。どこかローカル色を残すあたりが彼の魅力でもある。Le Chant du Mondeがセトラックに目を付けたことは不思議さを感じる。長い沈黙の期間に相当に訓練を積んだのだろう。迷いなく降りかざす打鍵は爽快の一言に尽きる。セトラックが単に優れた技巧派ではないことは既に「展覧会の絵」で証明されており、この録音では更なる腕前の進歩と曲の多彩な表現力を身に付け、幅の広いピアニストとなって現れた。それが真実だろう。硬質なタッチを意図的に使いビゼー的世界を表現している。曖昧さの全くない切れ味鋭い演奏。「展覧会の絵」で感じた音を包丁でみじん切リにしたような個性はここで進化した形を見せる。超が付くような辛口スタイルに徹している。ビゼーのピアノ作品という超が付くマイナー作品集で殆どの方が初めて聴く曲だろう。しかし、針を落とせば、ぐいぐいと引き込まれるセトラックの魔術にはまることになる。一種豪華であり、また悪魔的な魅力で聴く者を翻弄する不思議なピアニスト。1980年代に入っての録音だが心配はいらない、1970年代と変わらない高音質録音である。エコー分はほぼ感じないリアルな音である。まるでリストを聴いているような印象。只ならぬ気配が常に付きまとう、ある種危険なLPである。
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