商品コード:1346-016[DGG] R.カークパトリック(cemb) / バッハ:平均律クラヴィア曲集第1, 2巻(全48曲)
商品コード: 1346-016
商品詳細:小型の1段鍵盤を使った2回目の録音。初回はチェンバロではなく、クラヴィコードを使用(ARCHIV)していたので、チェンバロでの初の録音となる。楽器もシンプルだが、演奏も大変シンプルで、平均律の原点に帰ったようなところを感じる。テンポは殆どいじらずに、学究的な演奏に近い。しかし、そういった余計なものをそぎ落とした後に残った純粋な骨格の部分は、完全無欠であり、人間がこれ以上、何も手を加える必要のない聖域のように感じる演奏。ラルフ・カークパトリックは1959年/1967年と1962-5年の2回「平均律クラヴィーア曲集」の録音を行っている。初回はARCHIVでクラヴィコードを使用した録音。2回目はDGGでチェンバロでの全曲録音である。特に初回録音は第1巻と第2巻の間が非常に空いていて、その間に2回目のチェンバロ録音が収まっているという何とも一貫性に欠けた録音となった点は否めない。現実から見てカークパトリックは1959年から1967年までの8年間でクラヴィコードとチェンバロで2種の平均律クラヴィア曲集全曲を録音し、クラヴィコードでの録音はARCHIVから、チェンバロでの録音はDGGから発売された。----これが正しい見方であろう。ラルフ・カークパトリック( 1911 – 1984)は米国生まれの音楽学者、チェンバロ奏者。ヨーロッパ各地に留学。パリでナディア・ブーランジェとワンダ・ランドフスカに師事した後、イギリスでアーノルド・ドルメッチに、ベルリンでハインツ・ティーセンに、ライプツィヒでギュンター・ラミンに師事。1933年から1934年までザルツブルクのモーツァルテウムで教鞭を執る。1940年からイェール大学の教授に就任し、ドメニコ・スカルラッティの評伝と、スカルラッティのソナタから60曲を選んだ原典批判校訂版(1953年)を出版。これらに付された「カークパトリック番号」(Kk.+数字)は、スカルラッティのチェンバロ・ソナタの標準的な番号付けの方式となっている(この他の有名なスカルラッティのソナタの番号方式に、“L.+数字"で表記されるロンゴ番号がある)。ARCHIVが1950年代中頃からスタートしたバッハの鍵盤作品録音のメインを任されたのは地元ドイツのチェンバロ奏者ではなく、わざわざカークパトリックを米国から招聘してる。彼は1950年頃既にHaydn Societyにバッハの主要鍵盤作品を録音しており、ARCHIVはこの実績を買ったのだと思われる。チェンバロ、クラヴィコードどちらの演奏もカークパトリックの知識と美学がふんだんに取り込まれた録音であり、楽器が異なるので優劣はない。カークパトリックとしては2種の楽器での演奏と録音が必然だったのだろう。1962年と1965年に録音されたチェンバロ演奏は時期が近いこともあり、安定した演奏となっている。学者としてのアカデミズムの徹底と鑑賞音楽としての両立は困難な作業であるが、クラヴィコードの方がよりアカデミズムよりであり、チェンバロの方が鑑賞向きの演奏であるといえるだろう。2種の異なる楽器で8年という時間の中で平均律クラヴィア曲全曲録音を行った人物はカークパトリック以外にはいない。
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