商品コード:1348-023[ERATO] G.シェベーク(pf) / リスト:Pf作品集/メフィスト・ワルツ 他
商品コード: 1348-023
商品詳細:ハンガリー出身のシェベークというピアニストは、日本ではまだほとんど無名に近い存在だが、人気が出てきている。それもそのはず、この人のピアノには一見地味ではあるが、正攻法に弾いた味わい深さが並外れてあり、特にプロの音楽家に好まれている。リストは最近人気が低いが、フォルテを強打音のみに頼る演奏が多いからではないだろうか。うるさいだけである。彼のリストは、一味も二味も違う。音楽の深みが濃厚であり、楽しいリストなのである。ジェルジ・シェベーク(1922- 1999)はハンガリーのセゲドの生まれ。11歳でソロ・リサイタルを開き、14歳でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番をフリッチャイ・フェレンツと共演するなど、神童振りを発揮した。16歳のときにリスト・フェレンツ音楽大学に入学してコダーイ・ゾルターンやヴェイネル・レオーらの薫陶を受け、卒業後は欧米やロシアなどで演奏活動を始め、ヤーノシュ・シュタルケルらとも度々共演を重ねた。1949年からはブダペストのバルトーク・ベーラ音楽高等学校のピアノ科教諭に就任するも、1956年のハンガリー動乱の影響でパリに亡命を余儀なくされた。このとき、シュタルケルの援助によってブルーミントンのインディアナ大学の教授となった。また、ベルリン高等音楽院や桐朋学園大学などにも招かれてマスター・クラスを開き、後進の指導に熱心に当たった。欧州ではERATOとPHILIPSを中心に非常に多くの録音を残すも、その大半が室内楽である。ヤーノシュ、グリュミオーらが好んでシェベークの伴奏を希望するようである。それでもERATOではソロ録音が多い。そのどれもが流石と思わせる風格と感性に溢れた演奏ばかり。モーツァルトは数枚あるようだ。彼のモーツァルトは、がっちりとした構成で、ゆっくりしたテンポで山のようにそびえ立つ男性的スタイル。研ぎ澄まされた間の取り方は、名人のみが表現できるもの。一音の重みはギーゼキングに匹敵し、ギーゼキングには無い華やぎをも有す。ERATOモノラル期に多くの録音を残した。中でもショパンは得意としたが、リストはハンガリー人ピアニストが得意とする作品で、シェベークも同様である。リストの持つデモーニッシュな表情までしっかり表現できる多能なピアニスト。聴く程に良さが滲み出る演奏である。バッハの動機による変奏曲は正式には「バッハのカンタータ「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」とロ短調ミサ曲の「十字架につけられ」の通奏低音による変奏曲 S180/R24」という長い名称で、バッハ作品をモチーフに使ったオリジナル作品のような変奏曲。カンタータ「泣き、嘆き、悲しみ、おののき BWV12」の第2曲に出てくる通奏低音をモチーフにして作られた冒頭主題は、低音の和音が厳粛で威圧的な力強さがあり、畏れを抱かせるような絶対的な何かを感じる。リストにより更に劇的に脚色されている。録音は少ないのでバッハ好きの方には面白いと思われる。
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